それから国光は授業に、はそのまま医務室にと分かれた。
「先生・・今、何月何日なんですか?」
健診が終わり、はポンフリーに問いかけると、
「1月27日よ」
とこう応えられた。
「えっ・・・・」
「何かあったの?」
「いえ・・・なんでも・・・」
“ということは私、1ヶ月も眠ってたの・・・しかも誕生日に起きるなんて・・・”
そう思っていると授業が終わる鐘が鳴った。
その音とともに・・・・・・
「ちゃ〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
と思いっきり走ってやってきたひのき。
そしてベッドにダイブ!!
「もう、ひのき。重いじゃない!!昨日も同じようなことして・・・」
「エヘヘ・・・やっぱちゃんはこうでなきゃな!!」
「ひのき!!」
に叱られながらもひのきはのベッドから動こうとはしなかった。
「あ〜あ、早速ひのちゃんダイブしてる」()
「、生きてる?」()
「生きてる、生きてる!!といっても意識は前からあったのよ」()
「それじゃ、あたし達がに話しかけてたのは全部聞こえてたんだ?」()
「of course!!(もちろん!!)」
そして笑い声が上がる。
「おやおや、お嬢さん方。元気があるの〜」
「「「「ダンブルドア先生!!」」」」
髭を触りながら、医務室に入ってきた。
「どうじゃ、気分の方は?」
「はい。まだ身体はうまく動きませんが、なんかスッキリしてます」
「そうかい・・・暫くはベッド生活じゃろうが、退屈しないように
車椅子を用意したんじゃ。これがあれば大広間くらいはいけるじゃろう」
そういい、車椅子をベッドの横に置く。
「すみません、先生・・」
「お大事に・・・」
「ありがとうございました」
ダンブルドア先生は即座に医務室から去っていった。
「ほっほ〜い。お見舞いに来たよ〜ん」(英二)
英二達が医務室に顔を出しに来た。
「ありがとう、皆」()
「元気そうでよかった」(周助)
「気分はどうだい?」(秀一郎)
「身体は動かないけど、気分はいい」
「そうか・・・それはよかった」(隆)
「先輩、この車椅子で移動するんすか?」(桃)
「バカか・・・先輩は身体が動かないんだぞ・・・」(薫)
「なんだと?このマムシが!!」
「やんのか?」
「「あー!」」
2人は喧嘩腰になる。
「桃、薫!!場所を考えろ!!2人とも今からグラウンド30周だ!!」
「「ゲッ!!」」
2人のいがみ合いに鶴の一声が・・・いや国光の一声が上がる。
「2人ともまだまだだね・・・」
リョーマのとどめの一言で、2人は医務室から去る。
「さぁ、あの2人が雪の中をどうやって走るのか見に行こう」
貞治は眼鏡を逆光させながら2人を追って行った。
「なぁ、ちゃん?なんかやりたいこととかねーか?」
ベッドにダイブしたままのひのきが立ち上がり、問いかける。
「と言われても・・・・」
はう〜んと腕を組み、悩み始める。
「なんかあるだろ?」
ひのきは眼をキラキラと輝かせながら更に問いかける。
「強いて言うなら・・・・」
「うんうん」
「お風呂・・・・入りたい・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「らしい・・・」()
「確かに1ヶ月も入ってなきゃ違和感あるよね・・・」()
「でも寮にはまだ戻れないでしょ?」()
「でしょ!?」()
4人はクスクスと微笑みあう。
「ほんじゃ、他は?」
「そうね・・・ピアノかな?」
そういうと
「それだ!!」
と大声を上げる。
ひのきはの制服を取り出し、ベッドに置く。
そして・・・・・・
「お前ら、医務室から出ろ!!」
ひのきは国光たちを医務室から無理矢理追い出した。
「ひのちゃん?」
「もしかして・・・・」
「を制服に着替えさせるの?」
「もち!!達も手伝ってくれよ」
「ひのき・・・・」
の不自由な身体を達が支えながら制服に着替えた。
「あとはネクタイだけ!!」
が器用ににネクタイをつけていく。
「「「よし、出来た!!」」
たちの声に国光らは医務室に戻ってきた。
「今度はお前らの番だぜ!!リョーマは車椅子を出してくれ」
「ウィーッス」
リョーマは言われたとおり、車椅子を出した。
「よし、次は周助と英二は座れるようにして、コロをロックしてくれ」
「ほ〜い」
「了解」
「秀一郎はポンフリーのところ行ってブラウンケット貰ってきてくれ」
「解った」
「ラストだ!!隆と国光でちゃんを車椅子に移動させてくれ」
「いや、俺だけで十分だ」
国光はそういうとを軽々と持ち上げ、車椅子に乗せた。
「貰ってきたぞ」
ひのきはブラウンケットを受け取りの膝元に掛けると、
「よーし!!しゅっぱーっつ!!」
ひのきはロックを解除し、力を込めて押すが・・・動かない・・・
「なんで・・・・?」
隆がクスクス笑いながら「それは力不足」と言いひのきと代わる。
「それじゃ、いくよ」
ゆっくりと車椅子を押し、動き始めた。
「タカさん、俺も押したい!!」
英二が眼をウルウルさせながら隆に訴える。
「大丈夫かい?」
「大丈夫、大丈夫!!」
英二が車椅子を押すと、少しずつ動き出す。
「これじゃ大広間まで行くのにかなりの時間が掛かるね」
周助はクスリと微笑むと、秀一郎がため息をつき
「俺も手伝うよ」と言い、英二と一緒に押す。
大広間に入ると、生徒はまばらとしていた。
だが、他の特待生たちはそこにいた。
「ちゃんや!!」(侑士)
広間に入ると侑士が即座にに駆け寄ってきた。
その声に特待生たちも寄ってくる。
の元気な姿を見た面々は嬉しそうな顔をする。
「もう、皆どいてよ〜〜〜!!」
英二が我慢できず声をあげる。
「なんだよ、英二。いいじゃねーか」(岳人)
「そうだぜ、せっかくさんの顔がここで見れたんだしよ!!」(亮)
「今からピアノのところへ行くんだ。通してくれ」(秀一郎)
秀一郎に言われ、13人は道を開ける。
ピアノの前に着き、国光がまたを抱き上げ椅子に座らせる。
「ありがとっ」
はそういうと、鍵盤カバーに手をかざす。
そして開けようとするが、全く力が入らない。
「あっ・・・・」
は自分の手を見て、俯く。
「大丈夫だ。俺がサポートする」
国光がそういい、鍵盤カバーを開けた。
「うん・・・・」
白と黒の鍵盤が現われ、は指一本で鍵盤を一つ押す。
「いい音・・・・」
は両手をかざし、あまり負荷の掛からない曲を弾き出した。
弾き終わると、拍手が喝采した。
「ちゃん、久々だね・・・こんな誕生日!!」
ひのきがにっこりと微笑み、話しかける。
「そうね・・・こんないい誕生日はないわ・・・」
双子はクスクスと微笑みあっていると・・・・・
「そうか・・・今日はさんとひのきのBirthdayだったな」
貞治が桃と薫を連れて、戻ってきた。
「そうだったんすか?」(桃)
「さすがっすね、貞治先輩のデータは・・・」(薫)
「だったらお祝いしましょうよ!」(杏)
「僕、大賛成です!!」(太一)
「うんうん、盛大にやりたいね☆」(清純)
「俺も賛成っす」(アキラ)
「俺もだけど・・・・・」(深司)
そして皆も賛成と声をあげる。
「だけど、どうやって祝うんだ?」(裕太)
「そうですね・・・どこかの教室をお借りできればいいんですけど・・・」(はじめ)
「それにケーキもないぜ!!」(岳人)
「別にケーキとかなくてもいい。皆がいればそれでいいから・・・」()
「それはそうだけど・・・・でもケーキがあったほうが・・・」()
「なら、作る?」()
「おっ、それいい!!オレ、その意見に賛成!!」(ひのき)
「だけど誰が作るの?」()
の言葉にう〜んと悩み始める。
意外に料理上手はいない・・・・・・ん?
「そうだ!!桔平なら・・・」
「なんだ、ひのき?」
「お前、料理得意だったよな?」
「そうだが・・・」
「ケーキ作れるか?」
「簡単のだったらな」
「決まりだ!!ケーキは桔平に作らす!!」
ひのきは皆の前でそういう。
「いいのか?」
「仕方のないことだ。ひのきは言い出したら止まらないからな」
国光の問いかけに桔平はため息をつきながら応えた。
みんながあれこれと話していると、2つの寝息が聞こえた。
「なんや、ジローまた寝てんのか・・・」(侑士)
「ふぁ〜〜〜〜、ねみぃ・・・」(ジロ)
「おい、起きろ!!」(亮)
亮がジロを揺らし、起こし始めるが熟睡に入ってしまった。
「相変わらずですね・・・でも、もう1つは・・・・」
長太郎が横を振り向くと、椅子に座ったままが眠っていた。
「さん!!」
長太郎が声をあげると、皆はハッとを見る。
その声とともに国光はに駆け寄り、状態を見る。
「疲れたんだろう・・・眠っている」
国光の言葉に皆はホッとする。
「ちゃん、疲れたんだね」(英二)
「ああ、国光もう医務室に戻ったほうがいい」(秀一郎)
「そうだな」(国光)
国光はそっとを抱き上げ、車椅子に乗せると医務室に向って移動し始めた。
「やっぱり今日は無理かな?」(隆)
「うん・・・あたし達、の状態のことなんて考えてなかった」()
「今日目覚めて、不自由な身体でここまで来たからね・・・かなりの負荷があったみたいだね」(周助)
「、そんな身振りしないから・・・」()
「だからあんな話が出来た・・・」()
「俺たちの責任だな」(貞治)
「でも、先輩は嬉しそうでしたよ」(リョーマ)
「ああ」(桃)
「ふしゅ〜〜〜」(薫)
「なぁ、やっぱりやらねーか?パーティー」
ひのきがそういうと
「だが、さんの身体も考えてみろ」
桔平がそう言い聞かせる。
「だけど・・・・・そうだ!!医務室でやればいいだ!!ポンフリーの許可さえあれば!!」
ひのきはそういいきり、国光のあとを追って行った。
「全く・・・無鉄砲だな、あいつは・・・」
ため息をつき、そういうと
「ここの厨房を知っているやつはいないか?」と問いかけた。
「それなら・・・・・」
達は桔平を厨房に案内した。
その頃・・・・・・
医務室に帰り途中の国光に、猛スピードでひのきが去っていった。
「なんだ?」
その姿を見送りながら、?マークを飛ばす。
「まぁ、いいか・・・・・」
そう言い、また車椅子を押して医務室へと向った。
「たのむよ、先生」
ひのきはポンフリーにここでパーティーしてもいいかと話していた。
「でもね・・・・」
「こんな日はなかなかないんだぜ。お願いします」
両手を合わせ、更にお願いをする。
その姿にポンフリーも困惑する。
「いい話じゃの・・・ポピーや。許可を出してはくれんかの?」
ダンブルドア先生がホッホッ言いながら、医務室に入って来た。
「ダンブルドア先生。ですが・・・」
「特別の療養室ならええじゃろ・・・あの子を入れるつもりじゃろ?」
「そうですが・・・・」
ポンフリーは悩みに悩んで、
「解りました・・・でも騒がないことを条件とします」
と言い、了承してくれた。
「ありがと、先生!!オレ、皆に知らせてくる」
ひのきはまた猛スピードで大広間へ向っていった。
それと入れ違いに国光とが入ってきた。
「何かあったんですか?」
国光はポンフリーとダンブルドア先生に問いかけた。
「いやの、ここでパーティーすることを許可したんじゃよ」
「そうですか・・・」
「それより・・・はまた眠っておるの・・・」
「俺たちが連れ出した所為で疲れが出てしまい、眠ってしまいました。
すみません」
「謝ることはないわ。さっ、こっちに連れてきて」
ポンフリーは1つのドアを開け、国光を呼ぶ。
車椅子を押し、部屋に入ると1つのベッドと机があった。
「今日からここで療養させるから・・・ベッドに移しましょう」
ポンフリーがそう言うと、国光はを抱き上げベッドに移す。
に布団をかけ、「後は頼んだわよ」と言い部屋から去っていった。
暫くすると、は目覚めた。
「あれ?大広間にいたはずじゃ・・・」
起き上がり、う〜んと悩み始める。
「ピアノを弾いたあと、寝てしまったんだぞ」
国光が本を置き、にそう言った。
「そうか・・・寝ちゃったんだ・・・」
「気分はどうだ?」
「うん、大丈夫!!」
「ならいい。そういえば、あいつが・・・・」
国光がひのきのことを話そうとすると・・・・・・・・・・・・
「ちゅあ〜〜〜〜〜〜ん!!」
とひのきが大声を上げ、やってきた。
「ひのき?」
「来たか・・・・」
ひのきの後をぞくぞくと特待生たちがやってきた。
「あっ、。起きたんだ」()
「いつの間にか寝てたから、吃驚したよ」()
「ゴメンゴメン」()
「でも元気そうでよかった」()
彼女達はクスクスと微笑みあう。
「それじゃ、始めましょうか?」(はじめ)
「そうですね、桔平さん!!」(裕太)
裕太が呼ぶと、侑士、長太郎、桔平の3人がかりでケーキを持ってきた。
「さっきも見たけど、でっかいにゃ〜〜」(英二)
「30人で食べきれるのかな?」(隆)
「まっ、桃たちがよく食べそうだけどね」(周助)
「確かにそうですよね」(杏)
「なんだよ、大食らいみたいに言いやがって」(桃)
「そう言われて当然だ」(薫)
「なんだよ、喧嘩売ってんのか?」
「ふしゅ〜〜〜」
「おいおい、やめないか。2人とも」(秀一郎)
「そうそう、喧嘩はよくないよね☆」(清純)
「これって・・・・」
がこの状況にただただ吃驚していると、
「あいつが祝おうって言ったんだ」
国光がそう言い、教えた。
「でも・・・・・」
が言いかけようとすると
「“そんなの悪い”なんて思わないでくれよ、ちゃん」(岳人)
「そうだぜ、俺たちがやるって言ったんだからよ」(亮)
「何も心配することはないんですよ」(長太郎)
「ウスッ!!」(崇弘)
「だけど・・・私たちだけ祝って、皆の祝わないなんて・・・」
が下に俯き、そういうと・・・・
「そっか・・・今日までの誕生日迎えた奴らは祝ってなかったんだ〜」
ひのきがさらりとそう言う。
「そうよ。気づけば1月・・・国光の誕生日さえ祝えなかった」
「・・・」
「この生活に慣れたと思えば、もうそれだけの月日は経ってたし・・・」
その言葉に国光はを抱き寄せ、「その気持ちだけでいい」と言う。
「そういえば、オレもう13歳になったんだ」(リョーマ)
「僕もです!!1月2日でしたから」(太一)
「そう言う事なら、祝おうやないか。1月27日までのを」(侑士)
侑士の意見に全員が賛成する。
「ついでに明日のの誕生日も・・・」
「もちろんや!!」
そして貞治のデータに基づき、ケーキには、、、リョーマ、国光、英二、秀一郎、
貞治、桃、隆、薫、桔平、深司、アキラ、ひのき、はじめ、清純、亜久津、太一、跡部、侑士、
岳人、亮、ジロ、崇弘の計25名の名前を入れた。
「これで全部だな?」(桔平)
「凄いッスね・・・25人もの名前が・・・」(深司)
「まさかとは思うけど、毎月祝う気かな?」(アキラ)
「いいじゃねーの!!毎月ケーキ食えるぜ」(ひのき)
「おい、その度に俺に作らせるのか?」
「いいじゃねーか!!でもちゃんが復活したらちゃんが作りそうだけど・・・」
皆ががやがやと話していると、跡部がに近寄ってきた。
国光は睨みつけるが、そんなのは気にしない跡部。
「・・・・」
呼ばれ、は跡部を見る。
「、俺はお前に酷いことをしてしまった。許してもらえないと思うが、
一度でいい。謝らせてくれ。本当にすまなかった」
あのプライドの高い跡部がに頭を下げ、謝罪した。
「跡部君・・・・」
は耳につけているマグピを取り、国光に渡す。
そして跡部の手を握り、心の声を聴く。
暫く経ち、
「解った・・・跡部君の気持ち・・・」
と言い、手を離すとまたマグピをつける。
「?」
何のことかさっぱり解らない国光はの名前を呼ぶ。
「国光・・・・私が倒れた時、跡部君に“もうには近づかせない”って言ったのね・・・」
「ああ」
「もう大丈夫よ。跡部君、私のこと諦めてるから」
はそういい、にっこりと微笑む。
「、まさか・・・・」
「そう、そのまさか!!」
「・・・・・・・・・・・・解った」
国光はため息をつき、そういうと
「跡部君、改めて言うわ。私と友達になってください」
は跡部に手をかざした。
「ああ、よろしく頼むぜ」
の手を握り、そう言った。
「こちらこそ!!景吾君」
「ほな、ケーキ切るわ」
侑士たちは大きなケーキを30等分に切り始めた。
「でもあと1人、覗いて見たい人がいるのよね・・・」
が呟くと、
「亜久津か?」
国光がそう問いかけた。は何も言わず頷く。
「亜久津君、ときどき来てくれたから・・・・」
「そうなのか?」
「うん・・・私、眠っている時意識だけあって亜久津君の声が聞こえたの。
それに何度か来てくれてたし・・・
今なら、能力が使えるし・・・言葉じゃ解らないことも心ならって思って・・・
でも、拒否されるかな?」
が悲しそうな顔でそう言う。
「ダメもとで行ってみるか?」
「国光?」
「行ってみる価値はあると思うぞ」
「ウン!国光、車椅子に乗せて」
「ああ」
国光はを車椅子に乗せ、亜久津のいるところまで連れて行った。
「亜久津君、ちょっといい?」
「あ゛!?なんだよ」
亜久津はを威嚇する。
「手を・・・・貸してくれない?」
「はぁ?何言ってんだ、お前」
亜久津の声に、皆の視線が2人に向けられる。
「手を私にかざすだけでいいの。ダメかしら?」
は頭を下げ、そう言った。
「めんどくせー・・・」
そう言い、背を向ける。
「こらこら、あっくん。ダメだよ、女の子に背を向けちゃ☆」
清純が亜久津にそう言い、と向き合わせる。
「しゃーねーな。ほらよ」
亜久津はに手をかざした。
「ありがと、亜久津君」
は亜久津の手をふわりと包み込み、眼を閉じた。
そして亜久津の心を覗き始めた。
“ケッ、ここにいたって何もねーじゃねーかよ。ここでもつまんねー玉遊びしやがって。
俺は何しにここに来たんだよ?授業は退屈だ、その後は暇。まだ日本にいたほうが・・・
それにあいつら何友達ごっこしてんだよ。小学生じゃねーんだぞ。
だが・・・・・・・少し羨ましい気がするのは何故だ・・・・・”
は亜久津の手を離すと、また話しかけ始めた。
「ねぇ、亜久津君・・・」
が話しかけても無言。
「亜久津先輩!!」
太一も亜久津のこと呼ぶが、無言のままだった。
「いいのよ、太一君。亜久津君は、テニスが嫌いなの?」
「ああ」
「授業も退屈?」
「そうだ」
「自分でどうにかしようとは思わなかった?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「亜久津君は、ここで何がしたかったのかな?」
「それは・・・・お前には関係ない」
「そうかもね・・・でも私は君のことが知りたいの。いわゆる友達になりたいってこと。
君は私たちの行動が小学生みたいだって思っているみたいだけど、
友達の関係は大人になってもそれは変わらないないと思うわ。
友達がいるから、魔法やテニス・・・ううん、他のことも楽しくやっていけると思うの。
どうかな?」
の話に亜久津は無言を続ける。
「もし、気が変わったら私か国光・・・ううん、清純君でも太一君でもいい。
誰でもいいから話しかけて。私たちはそれに応える・・・・」
「なってやるよ・・・その友達とかに・・・」
が言いかけると亜久津は照れながらそう言った。
「亜久津君・・・・」
「けど、お前だけだ。後の奴らはそれから考える」
「解った・・・」
「はい、さん。ケーキ切れましたよ」
話がちょうど言いところで終わったのを見計らい、長太郎がケーキを持ってきた。
「ありがと、長太郎君」
はケーキを受け取る。
「おっきい・・・・食べきれるかな?」
は苦笑いしながらそう呟く。
「残ったら俺が食べてやる」
の呟きを聴いた国光は耳元でそう囁いた。
耳元の囁きには顔を赤らめる。
「お〜い、ちゃ〜ん!!こっち来いよ」
「うん」
2人は亜久津から離れ、皆の元へ行く。
「あいつとなら・・・・いい友達になれるかもな・・・」
亜久津は2人を見送りながらそう呟いた。
「それじゃとひのき、そして明日誕生日のを祝して」
景吾が仕切り始める。
「それと、今まで祝えなかった皆の分もね」
が景吾の司会に付け加える。
「ああ、25人分の祝いだ。グラスを持て、てめーら!!」
「景吾、言葉わるいぜ」
「お前に言われたくねー、ひのき」
皆はグラスを持ち、
「乾杯!!」
「乾杯!!」(ALL)
皆は軽くジュースを口にし、ケーキを食していった。
「さすがだな、桔平。美味い」(ひのき)
「うん。お兄ちゃん、腕落ちてないね」(杏)
「ありがとうな」(桔平)
「美味いッス」(アキラ)
「そうだね・・・これ毎月食べるのかな?」(深司)
「深司君。僕の隣でぼやかないで下さい。でも美味しいですね」(はじめ)
「こんな美味しいケーキは初めてですよ」(裕太)
「いいね〜〜。手作りは☆」(清純)
「僕も教えてもらいたいです」(太一)
「ケッ・・・」(亜久津)
亜久津はそう言いながらもケーキを食べていく。
「亜久津も素直じゃないんやな・・・」(侑士)
「ああ、でもちゃん勇者だぜ」(岳人)
「そうだな、あの亜久津に友達になりたいって言うなんてな」(亮)
「でもさん、亜久津が少しだけ心開いたことで嬉しい顔してましたよ」(長太郎)
「ウスッ!!」(崇弘)
「まぁ、様子見だな。暫くは・・・」(貞治)
「そうっすね・・・でもケーキうめぇ〜〜〜」(桃)
「桃はいつものことじゃにゃーか!!」(英二)
「そうっすよ。何でもうめぇ!!って言ってるし」(リョーマ)
「確かに・・・・」()
「桃君らしいね」()
「そうだね・・・でも本当に美味しい」(周助)
「ふしゅ〜〜〜(そうっすね)」(薫)
「こんな誕生日だったら、毎月あってもいいな」()
「毎月歳を取っていくのかい?」(隆)
「それだったら大変なことになるよ」(秀一郎)
「もう、冗談なのに・・・>3<」
「毎月は無理だけど・・・・3ヶ月に1回は祝えるかな?それぞれに・・・」()
「そのときはまた俺様が仕切るぜ」(景吾)
「そうだな・・・まだ祝っていないやつもいるしな・・・」(国光)
「今度は4月だね〜〜。楽C〜そ〜〜〜」(ジロ)
「その頃には私も十分に動けると思うしね」
時間は刻々と過ぎていき就寝時間となり、国光意外は寮へと戻っていった。
「国光も戻らなきゃ・・・」
「ああ。だがもう少し一緒に・・・」
そう話していると、ダンブルドア先生とマクゴナガル先生が部屋に入ってきた。
「ミス・。お話があります」
「なんですか?」
が問いかけると、マクゴナガル先生は話し始めた。
「明日からの授業ですが、暫くはここで課題を受けてもらいます。
1日の勉強するプリントを屋敷しもべに持ってこさせます。
貴方は1日が終わるまでにそれを済ませなさい。それが単位となります。
就寝時間前に屋敷しもべが回収に来ます。いいですね?」
「解りました。先生」
はそう言い頷いた。
「国光や。今日もここにいてもいいぞ」
ダンブルドア先生はそういい、国光に微笑んだ。
「はい、ありがとうございます」
国光は立ち上がり、先生に頭を下げた。
ダンブルドア先生は呪文を唱え、もう1つのベッドを出し部屋を出た。
マクゴナガル先生も後を追い、退出した。
「、ベッドをくっつけてもいいか?」
「国光?」
国光からの言葉には吃驚する。
「今日くらいいいだろう・・・」
照れながらそう言うと、はクスクスと笑いながら「OK!!」と言った。
国光はベッドをくっつけると、車椅子をベッドの横につけ、をベッドに移した。
「ありがと」
国光は車椅子をたたみ、隣のベッドに乗った。
「いや・・・・寝るか?」
「うん」
を支えながら、横にすると掛け布団を掛ける。
そして国光も布団に入る。
「ねぇ、国光・・・・」
「なんだ?」
「手・・・・繋いでくれる?」
「ああ」
国光はの手を握り、もゆっくりだが握り返す。
「ありがと・・・27日に目覚められてよかった・・・こんないい日はない・・・」
「・・・・そういえばまだ言ってなかったな・・・」
「え??」
国光は起き上がり、の耳元でこう囁いた。
「Happy Birthday・・・・・・この日に生まれてきてくれてありがとう・・・」
「国光・・・私も、10月7日に国光が生まれてきてくれてありがと・・・貴方と出会えてよかった」
「俺も同じだ・・・」
そういい、の眼鏡を外し国光は唇を重ねた。
「おやすみ、」
「おやすみ、国光」
2人は手を繋いだまま、就寝した。
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