一方、青学ではお昼を迎えていた。


別れの予感




中等部と高等部の校舎にはさまれた裏庭にいつものメンバーが集まった。

「おーい!!お前らさっさと来い!!」

中等部校舎から走ってくる桃城たちに、ひのきが大声を出す。

「すんません、購買が混んでて」
言い訳じみた言葉に、ひのきは怒りの頂点へと行きそうになる。
「まぁ、いいよ・・・先に飯、食おうぜ」
ムスッとした顔をしながらひのきは弁当を開け、食べ始めた。

「どーしたんだろ・・・?ひのきさん」(
「さぁな〜・・・」(桃城)
「まっ、とりあえずご飯にしよ―よ」(
「ああ・・・」(海堂)


「秀ちゃん・・・先輩は?」(
「今日は来てないみたいなんだ・・・手塚、何か知ってるんじゃないのか?」(大石)

大石が問いかけても、手塚は黙々と食事を取り返事をしなかった。

「ねぇ、手塚先輩・・・何かあったの?」(越前)
「それがよく解らないの・・・、3学期からよく休んでたし・・・」(


「せやけど・・・、なんで来ぃへんのやろ?」(
「何かあったのかな?」(
「どうだろう・・・なんだか事情を知ってそうなのはひのきちゃんみたいだけど・・・」(河村)
「ああ、それと・・・・手塚にも何かあったはずだ・・・」(乾)


「最近、手塚・・・イージーミス多いし〜、試合にも負けてるんだよね〜」(菊丸)
「あっ、あの手塚君が!?」(
「うっそ・・・信じられない・・・」(
「確かにそうだけど・・・事実だよ・・・今の手塚は・・・なんて言うのかな・・・抜け殻・・・かな?」(不二)

話しながらも食事は進んでいった。
大体が終わったのを見計らって、ひのきが話しをし始めた。


「まず、今いないちゃんのことを話す・・・手塚、てめーは聞き流すんじゃねーぞ」
ひのきは指を手塚にビシッと指した。

ちゃんが3学期の始めから休んでたのは・・・Sound選手権HPでの書き込みから始まったんだ。
 グランプリ取ったちゃんは、オレ達とライブした。それから数日後、おなじ書き込みがあった。

 『のCDを作ってほしい』

 とな・・・まぁパパは面白いって思ってちゃんに話したんだ。最初は断ってたけど・・・
 パパの強い思いに了承したんだ。これが主に休んでた理由。
 週に2・3度しか来なかったのは・・・レコーディングがなかった日ってこと」


ひのきの語りに、みんな耳を傾ける。
その間にも乾はノートに書きこんでいく。


「んでな・・・その書き込みの中にな・・・とんでもないことが書いてあったんだよ・・・・」

「とんでもないこと?それはなんだ・・・?」
橘が問い、ひのきは一度深呼吸をした。
「おい、データ。お前、今PCあるか?」
「ああ・・・」
「ネット開いてくれ・・・直に見たほうがいい・・・」
ひのきがそう言うと、乾はノートPCを出し立ち上げネットを開いた。

「出来たぞ・・・」
乾はひのきにPCを渡すとすぐに、Sound選手権のHPにジャンプした。
歌部門のページに入ると、去年のライブの様子がしっかりと掲載されてる。
メンバーはひのきの後ろからPCを覗く。
掲示板を開くと、CDのことがいっぱい書いてあった。

「こんなのはまだカワイイくらいだぜ・・・いいか、この書き込み見て・・・驚くなよ・・・」

ひのきは掲示板の管理システムに入り、パスワードを打った。
認識されると、今までにきた書き込みがすべて露になった。

「これだ・・・おい、手塚・・・自分で読んでみろ・・・」

ひのきは手塚にPCを渡し、読むようにといった。
手塚は今表示されている言葉に、呆然。
「読めって・・・」

「あっ、ああ・・・・

ちゃん、彼氏と別れなよ・・・君には俺たちがついてるんだからさ』

『俺たちさ、ちゃんには純粋でいてほしいんだよね〜。あんな奴と別れてさ、アイドル頑張ってよ』

『これは俺たちからの願いなんだ。まぁ、別れないって言い張るんなら・・・俺たちも手段を選ばないよ』


 とここには書いている。ひのき、お前・・・」
「しかも書き込み日時見てみろよ・・・」
「2004年12月22日・・・っ!!!!」
「思い出したか・・・あんとき、ちゃん何でもないって言ったけど、これ見て真っ青になったんだぜ」


「ねぇ、ひのちゃん・・・」
が会話に入ってきた。
「ん?なんだ??」
「どうして、誰にも話さなかったの?」
の言葉に、視線はひのきに向けられる。

ちゃんが、話す質だと思うか?もし話したらどーなってしまうのか?ってずっと悩んでた・・・
 んでもな!!ちゃん、手塚守りたかったんだよ!!だから・・・だから・・・」

「だから・・・どうしたんだい?」
今度は不二が問いかけてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは・・・・」
ひのきは口篭ると、手塚が「俺が話す」とひのきに言った。

「俺は・・・と別れた・・・」

その言葉に、誰しもが唖然とした。

「だが、理由だけは話してくれなかった。まさかこんなことになってたとは・・・」



「けどよ、手塚・・・これだけは言っておくぜ!!ちゃんは決してお前が嫌いになったわけじゃない!!!
 ただ、ファンがどこから見てるのかも知れないから、そう言ったんだ。
 ちゃんは、今でもお前のこと好きなんだよ!!」

ひのきは涙目になりながらも、手塚にそう言い放った。

「お前・・・ファンがどんなことしてきても・・・もし、ちゃんがこのこと話して別れようって言ってきたら・・・どうしてた?」
目をこすり、手塚に問う。
手塚はその場から立ち上がり、

「例え、何が来ようとも・・・俺は別れるつもりはない・・・」

そういい、ひのきと向き合った。

「じゃあ、示せよ・・・ちゃんの前で・・・」
「ああ・・・は今自宅か?」
「いや・・・まだ話しは続くんだ・・・」

ひのきは、今日の午後2時発の飛行機でがドイツに行くことを話した。

「そんな!!」(
「どうして話さなかったんだよ!?」(菊丸)
「英二・・・落ち着きなよ」(不二)
「そうだよ・・・2時ならまだ間に合う」(
「でも・・・授業どないするん?」(
「俺たちならまだしも、受験を控えている桃城達がいるからな」(乾)
「じゃあ、俺達で行こう・・・」(河村)
「うん・・・」(

「秀ちゃん、私も一緒に行く!!」(
「だが・・・」(大石)
「ダメって言われても、行くけどね・・・」(越前)
「リョーマ・・・」(
「もちろん、俺達も行くっす!!」(桃城)
「内緒で行かれるのも、イヤですからね」(
「あたしも!!受験なんてどーにでもなるし!!ねっ、海堂」(
「ああ・・・」(海堂)
「お前達・・・」(橘)
「どーするんだ?手塚・・・」(ひのき)

手塚は深呼吸をして・・・


「全員荷物を持って高等部の正門に集合!!あまり時間もない。
 今から5分後までに来なかったら置いていく」



そうメンバーに言い放った。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「はいっ!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」



それぞれ弁当箱を持ち、校舎に走りこんだ。


中等部は・・・・

【ダダダダダダダダダダダダダダダダ】



海堂、、桃城、、越前、が爆走していた。

「ちょっ・・・越前・・・待ってよ〜〜〜・・・」
荷物を取りに行ったまではよかった。
中等部の校門前でがへばってしまった。
「坂下・・・置いて行かれたいわけ?」
「そんなこといわないでよ・・・アンタみたいに鍛えてないんだから・・・」
そんなにため息を着く越前。

「越前、さんの手引っ張ってあげて」
「大石先輩のとこまででいいから!!」
が一時とまり、越前に言う。
「はぁ・・・これで追いつけなかったらお前のせいだからな・・・」
の手を取り、越前はいそいで高等部へ向かった。



高等部では、それぞれのクラスに戻り早退すると担任に告げ、教室を後にした。
手塚は走りながら、生徒会とテニス部に携帯で休むと告げ、
はコーラス部に休むと告げていた。

13人が正門に出ると,タイミングよく中等部の6人が来た。

「はい、大石先輩・・・」
越前はここまで引っ張ってきたを渡し、のところへ行った。
「よし、行くぞ!!」
手塚を筆頭に、19人は急いで駅に向かっていく。

だが・・・同様、運動不足な彼女達は駅手前で息を切らす。
それを見かねた彼らは、それぞれ手を引き駅に入っていった。


の出発時間まであと1時間30分・・・・



「おい、手塚・・・」
電車でゆられながら、ひのきが話しかけてきた。
「オレと賭けしないか?」
そんな言葉に手塚は眉間に皺を寄せる。
「んな顔するなよ・・・いいか?もし、ちゃんのフライト時刻までに一度でもちゃんに
 触れられたら、お前の勝ち。もしダメだったらオレの勝ち。どうだ?」
「俺が勝ったらどうなるんだ?」
「まぁ、お前にいいことが起きる。でも、オレが勝てば・・・オレはお前をもうちゃんの彼氏として
 認めない。もしよりを戻しても・・・オレは精一杯邪魔してやる・・・」
ひのきの真剣な顔に、手塚は賭けに了承した。
了承とともにひのきは、メールを打ち始めた。

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