貴久からの言葉は・・・・



別れの予感



は父、貴久からの話しにOKを出した。
それは・・・・

「アルバムのPV撮影のため、ドイツに行かないか?」


ということだった。

もともと貴久の強い願いに、は1度だけのCD販売することを許可したのだった。
CDを売るには、やはりPV(プロモーションビデオ)は必要だ。
合成背景ならスタジオでも撮れる。でも、ドイツの背景で撮りたいという監督の言葉に貴久も乗ったのであった。


「解った・・・いつから?」
「来週から2週間。パパから休学届は出しててあげるから、は出れるように準備しなさい」
貴久にそう言われ、コクリとうなずき自分の部屋に入った。
クローゼットからスーツケースを出し、ため息を着く。



「暫く離れていれば・・・お互いのためにいい・・・」



そう言い、荷物を詰め始めた。
ドア越しにひのきが聞いていたことも知らずに・・・・


次の日・・・貴久は青学にの休学届を提出した。
事情を知っていた教員たちは、あっさりと許可を出した。
貴久が青学から去ろうとしていたとき、とひのきと逢った。

、許可降りたからな・・・・」
貴久の言葉に、うなずく。
「なぁ、パパ・・・手塚とちゃん別れたのは知ってんだろ?」
「ああ・・・」
「ならもう全部話しても良いよな!?」
「ひのき!!」
ひのきの言葉にが声をあげる。

「どうせ、ちゃんのことだから手塚どころかたちにも言わねーで行くつもりだったんだろ・・・
 なら、オレが・・・あいつらに話す」

は目線を下に向け、黙秘した。
貴久もを見て「ひのきに任せる」と言い、青学から去っていった。

「ひのき・・・」
「わーってるよ・・・話すのはちゃんの出発日にするからさ・・・」
「ありがと・・・」


その後、は2年の教室に行き・・・小池と小笠原に2週間の休学のことを話した。
手塚に話そうか?とも言われたが・・・は首を振って拒否した。


そして、とうとう出発の日を迎えた。
「んじゃ、ちゃん。気をつけて・・・」
「ありがと・・・ひのき」
「今日、話すけど・・・あいつらがどう行動起こしてもオレ、知らね―からな」
ひのきはそう言い、学校へと向かっていった。

荷物は先にドイツに送っているため、は出発まで家でくつろいだ。


青学に行ったひのきは、さっそくテニスコートに移動した。
「おい、手塚!!」
ひのきは、フェンス越しに大声で手塚を呼んだ。
「なんだ・・・」
「お前ら、今日昼はあそこいくんだろ!!大事な話しがあるから必ず来いよ!!」


その後ひのきは、彼女たちにも同じことを話した。
なんなくOKする彼女たちだが、ひのきは険しい顔をしていた。


ひのきは、退屈な授業中もはやく昼になれとずっと思っていた。


一方・・・は自室でピアノを弾いていた。
♪〜〜〜♪〜〜〜〜〜

「はぁ・・・」
指を止め、飾ってある写真を見る。
目線は一昨年のクリスマスの写真、そして去年のクリスマスライブ後の写真。
ピアノの鍵盤蓋を閉め、一昨年の写真を手に取る。

「国光・・・・」
自然との頬に涙が伝わる。
「本当は・・・・」


別れたくなんかない・・・



【コンコン】
ドアをノックする音に、は返事を返す。

・・・」
部屋に入ってきたのはの母、凪だった。
「ママ・・・」
「大丈夫?」
凪の一言では母親に抱きつき、首を横に振った。
「大丈夫・・・なんか・・ない・・・苦しい・・・ヒック・・・よ」
凪の胸の中で泣きじゃくるを、優しく撫で、
「そうね・・・にとって国光君は、かけがえのない人・・・なのよね・・」
優しく話した。
「ママ・・・」
「でも、はその国光君を守るために・・・別れたんでしょ?」
凪の言葉に、ただうなずく
「そのことを国光君に、話した?」
「ううん・・・話したら余計に私といるって・・・」


凪は一度を離し、真正面を見る。
、賭けをしない?」
「かっ、賭け?」

「そう・・・ひのきはもうそろそろ国光君達にのことを話すと思うわ。
 もし、のフライト時間までに国光君が現れるか?」

凪の賭け内容には考え始めた。

「国光君が来たら、ママの勝ち。来なかったらの勝ち」
「でもママ・・・どっちかが勝ったら・・・何かあるの?」
「そうね・・・ママが勝ったらは本当の気持ちを国光君に全部話しなさい。
 が勝った場合は・・・こっちに戻ってきたらのお楽しみにしててあげるわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・解った」

こうして凪との賭けは始まった。


合間を見て、父貴久が部屋に入ってきて、

、出発時間だよ・・・」

と知らせに来た。

「じゃあ、顔洗ってらっしゃい。その顔はひどいわよ」
凪に背中を押され、は洗面所に向かう。

「いいのかい?あんな賭けに出て・・・」
「あれ以上、の苦しむ顔は見たくないですからね・・・」
「あとはひのき次第か・・・」
「大丈夫、あの子も私達の娘よ・・・」
「そうだね・・・留守中、頼むよ」
「ええ・・・」

準備を終え、凪の車で成田に向かった。

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