時は3月に入り・・・・・・・・・・



が歩く日




ここ、医務室ではが歩くためのリハビリを行っていた。
サポートには屋敷しもべのジャコピーとマダム・ポンフリー。


「それじゃ、今日はここまでにしましょう」
ポンフリーの言葉で今日のリハビリを終えた。
「ありがとうございました」
「あと少しね。だいぶ上達しているから」
そういい、ポンフリーは療養室から出た。
それとともにジャコピーも姿を消した。



「あと少しか・・・・」
は少しずつ足をゆっくりと上下に動かす。



ベッドの横には2本の平行棒がある。
それに掴まりながら、ふらふらと立ち上がる。


立ち上がり、体勢を整えると平行棒からゆっくりと手を離す。




ふらっ



「あっ!」
は手を離した途端、ふらつきすぐ平行棒に掴まった。
「危ない、危ない・・・・」






が平行棒に掴まっている姿を見ていた人物1人。
彼女の邪魔をしまいと、影で見守っている。




「はぁ〜、ここまでにしよ」
がベッドに座り込むと、1人が療養室に入ってきた。
・・・・」
「あっ、国光・・・来てたんだ」
「ああ・・・・」
国光は何を話していいか解らず、2人の間に沈黙が流れた。


互いに話をせず、黙ったまんまの療養室。
「もしかして・・・・・」
沈黙を破り、が話し出す。
「見てた?」
歩く練習・・・・・・
そう言いながら国光の顔を覗く。
だが国光はポーカーフェイスで何も言わない。
でも、そんなのはには通用しない。

「見てたんだ・・・」
「ああ・・・危なっかしくて唖然するほどにな」
「唖然って・・・・これでも上達してるのに・・・」
は少し不貞腐れる。
「そんな顔するな。俺は心配なんだ」
国光はの隣に座り、頭をゆっくりと撫でる。
「心配してくれるのは嬉しいけど・・・・過保護すぎるのも・・・」
「そ・そうか・・・」
「でも、国光の気持ちはありがたく頂きますけどね」
そう言いながら、国光にもたれ掛かる。




その2人の姿を見ていた・・・・・・
「うわ〜〜、あの2人・・・見えないとこであんな事してるんだ」()
「国光君も大胆だよね・・・と一緒のときは」()
「まっ、いいんじゃないの?」(
「そうだね。カメラ持ってくるんだったな」(周助)
「でもそんな事知ったら、国光先輩ただじゃおかないですよね?」(リョーマ)
「うんにゃ〜。『触らぬ国光に祟りなし』って感じにゃ〜ね」(英二)
そう話しながら、療養室から離れていった6人。









それから数日たったある日・・・・・・

はとうとう平行棒なしのリハビリに入った。
まだ足元は不安定だが、ゆっくりと前に勧めるように上達した。




とうとう・・・・・
リハビリの成果が現われ、は1人で歩けるようになった。
だが、他の特待生たちはそれを知らない。

「おめでとう。ようやく歩けるまでになったわね」
「はい、ありがとうございます。これも先生とジャコピーのお陰です」
「いえ、私は・・・・」
「ううん・・・ジャコピーには本当に感謝してるの。ありがと」
「ミス・・・・・」
「行くんでしょ?大広間に・・・」
ポンフリーに言われ、はコクリと頷きゆっくりと大広間へと移動し始めた。




時間は午後3時といったところだろう。
今日の授業を終えた生徒達は大広間や寮でくつろいでいる。
そして、大広間には達、女性集団がいる。

時間をかけて、が大広間に足を踏み入れた。
周りは生徒だらけで、彼女達がどこにいるのかキョロキョロと探し始める。


「でさ〜〜〜」
ひのきは杏と話している。
「へぇ〜〜、そうなんですか〜〜」
杏がふいに大広間のドアの方を見ると、声をあげた。
さん!?」
杏の声に達も目線をドアに向けると、がキョロキョロと見回している姿を見つけた。
「行こうぜ!!」
「「「うん」」」



「「「「「(ちゅあ〜ん)(さん)!!」」」」」
名前を呼ばれ、は振り向くと彼女達がやってきた。
、ひのき、杏!!」
も彼女達を見つけ、ゆっくりと前に進んだ。
が歩いてる・・・」()
「完治したんだ・・・」(
「でも、まだちょっとふらふらしてるけど・・・」(
彼女達がそういっている間に、は5人の前に着いた。

「久しぶり!!やっとここまで来れた」
そう言い、親指を立てる。
「おかえりなさい。さん」
ちゅあ〜〜〜〜ん!!(抱き)」
杏はの帰還を喜び、ひのきはに飛びつく。


「ただいま!!ひのき、重い!!」
「ゴメン・・・それより、ちゃん!!国光のやつらにもう会ったのか?」
「まだ!!ここにいないって事はコート?」
「そうですよ」
「よし、行こうぜ!!」
ひのきは強引にの腕を引き、コートに向った。
杏、もそれを追う。





その頃・・・・
「国光よ・・・さすがにこの人数じゃ、狭くねーか?」
自分の練習まで時間がある跡部は国光に話かけていた。
「確かにな・・・そろそろ話してみるか・・・」
「出来るのか?」
国光の言葉に桔平が問いかける。
「それは解らない・・・だがこの人数だ。校長も考えてくれるだろう・・・」

さすが元部長s。話していることが違う。
でもってコートでは・・・・


「よっし!!あっくん、本気で行くよ☆」
「ケッ、早くしあがれ!!」
清純と亜久津のシングル。


「リョーマ君、お互いに頑張りましょう!!」
「今度は最後までやってよね・・・」
太一とリョーマのシングルス。



そして・・・・・
「今日こそぶっ潰してやる!!」
「てめーなんかに負けるかよ!!」
桃城と海堂のシングルスが行われていた。


貞治、はじめ、侑士がそれぞれの試合のジャッジとして入っている。
残りは素振り、壁打ちというように取り組んでいる。


「国光、一応僕と英二は壁打ちのメニューを終わらせたよ」
周助と英二がメニューをこなし、コートへと戻ってきた。
「あっれ〜、まだやってんだ〜」
「ああ、まだコートは空かないぞ」
「さすがに24人で3面はきついね」
「1日にコートに入れる日があるかどうかも解んにゃいしね」


彼らがそう話していると・・・・・
「よっ、桔平!!(ドカッ)」
ひのきが豪快に桔平にどついた。
「お前は・・・・・少しは加減しろ!!」
「へいへ〜い」
「杏も来たのか・・・」
「うん。でも、他のこともあってね」
杏の言葉に桔平は?マークを出す。


「周助vv」
vv来たんだね?」
「うん。あと特別ゲストもね」



「にゃあ〜、特別ゲストって誰?」
「すぐに解るわよ。ねっ、
「うん。ってもう、行動してるし・・・」
周助も英二も彼女たちの言っていることに疑問を浮かばせる。



そして・・・・

「ねぇ、なに眉間に皺よせながら考えてるの?く・に・み・つ!!」
「実は・・・・・・ん?」
国光は答えを返そうとするが、聞きなれた声に振り向く。
・・・・お前・・・・」
国光の横には上を見上げながら立っているの姿があった。
「なに?」
「ここまで・・・・歩いてきたのか?」
国光の言葉に景吾もの姿を見る。
「うん・・・もう、ばっちし」
は見上げながらもにっこりと微笑む。
その顔に国光の顔も綻ぶ。


「えっ、ちゃん。ここまで歩いてきたの?」(英二)
「そうよ、私たちもが大広間に来た時には吃驚したもの」()
「それじゃ、もう療養室から出られるのかい?」(周助)
「あっ、それあたしも聞きたい!!」(
「どうなの、?」()
「う〜ん・・・そこの所はまだ解らないのよ・・・」()
「そうか・・・だがもうすぐ寮には戻れるだろう」(国光)
「そん時はまた祝うか?盛大に」(ひのき)
「俺様はその意見に賛成だな」(景吾)
「あたしも!!」(杏)
「俺たちはここに来て以来、祭り好きになってしまったな・・・」(桔平)




それから全員にが歩けるようになったことを報告すると、
皆が自分のことのように喜んでいた。





そして、夜・・・・
「ようやく復活じゃの」
ダンブルドア先生に呼ばれ、国光とは校長室に行った。
「はい、ご迷惑おかけして・・・」
「元気になれたんじゃ、それでいい」
ダンブルドア先生はにっこりとに微笑んだ。
「それと、国光たちからの要請じゃが・・・・あとどれくらい必要かの?」
「そうですね・・・まずコートの増設、あと今使っている部室を広くしてもらいたいんです。
 さすがに24人で使うのは・・・」
「そうじゃの・・・コートはもう使わなくなっているバレーやバスケのコートを排除。
 そのあとにテニスコートを増設でいいかの?」
「はい、よろしくお願いします」
ダンブルドアの話にが問いかけた。
「先生・・・バレーやバスケはもうダメになってしまったんですか?」
「ああ、結局皆飽きてしまっての・・・・残っているのはテニスだけじゃ」
「そうなんですか・・・」



3人で色々話し合い、コートの増設と部室の改装が決まった。

「こんなもんじゃろう・・・明日にでも実行しよう」
「よろしくお願いします」
国光はダンブルドア先生に深く頭を下げる。
そのとき、「失礼します」とマクゴナガル先生が校長室に入ってきた。
「ミネルバ・・・どうしたんじゃ?」
「はい、ミス・のことですが・・・イースター祭りまで課題ということに決定しました。
 そのことをお伝えに・・・」
「そうか・・・解ったかの?」
「はい、先生。あと私、寮には・・・」
「明日には戻ってもいいですよ」
の問いかけにマクゴナガル先生が応えた。
「ありがとうございます」
「もう、就寝時間が近いの。解散じゃ」
その言葉とともにと国光は立ち上がり、校長室から退出した。



「よかったね、コートの増設と部室の改装が決まって」
「ああ、このことはメールであいつらに知らせる」
「私も明日にはレイブンクローの寮に戻れるのね」
「明日、迎えに行こうか?」
国光の言葉には黙ってしまう。
「で・でも・・・・」
「お前、今の合言葉知っているのか?」
「あっ!!それがあった・・・知らない・・・(汗)」
「決まりだな・・・」
「うん・・・」
「明日の授業が終わり次第、迎えに行く」
「解った。療養室で待ってる。それじゃ、おやすみ」
「おやすみ」
互いに挨拶すると、は下に国光は寮に向って行った。





次の日、テニスコートは増設され、部室も新しく広くなった。
そして、授業が終わり国光たちレイブンクローのメンバーがを迎えに来て、
寮へと戻っていった。

「おかえりなさい、さん」(長太郎)
「ほんま待ってたんで」(侑士)
「ウスッ!」(崇弘)
「ありがと、皆」()
「これで全員揃ったな・・・」(景吾)
「ああ」(国光)



それから彼らは新しく出来たコートで思う存分テニスを堪能し、
は大広間でピアノを弾く姿があった。

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