ホグワーツでは、冬休みが終わり授業が再開された。




の存在




あの日からはピクリともせず、眠り続けていた。
少しの休み時間でも国光や、達が必ずとしての側にいることが多かった。
大広間でもなんだか寂れた空気が流れていた。
いつもならか長太郎がピアノを弾いてたが、まったく誰も触らない・・・・
いや、誰も弾こうとはしなかった。
そして特待生クラスもが抜けているだけで、なんだか寂しい感じを漂わせていた。


「お兄ちゃん、さん一人抜けるとこんなに静かになるのね」
杏が教室の雰囲気を感じながら桔平に話しかける。
「そうだな、それだけさんの存在が強いんだろう・・・
 だが、一番堪えているのはひのきと・・・・・国光だろう」
桔平は横で俯いているひのきを撫でながら、国光を見る。
「ひのきさん、元気出しましょうよ」
アキラは何とかひのきを励ます。
だがひのきは何も応えなかった。
「全然ダメじゃん・・・」
アキラの励ましに深司はぼやく。



「なんや、寂しいな・・・」(侑士)
「そうだな・・・俺らにとってちゃんは存在感強かったし・・・」(岳人)
「そうっすね・・・・特に国光さんなんて見てられないっすよ」(長太郎)
「どういうことだ?長太郎」(亮)
「国光さん・・・・・寮にいてもいつも・・・・悲しい顔・・・してます・・・」(崇弘)
「そっか・・・ちゃん、早く起きて欲しいね・・・」(ジロ)



それから特待生たちは授業を着々と受けていった。
先生達もに起こった事は知っており、の名前を呼んでも返事のないのに
とても寂しそうな顔をする。ただスネイプを除いて・・・・・


「今日の授業はここまで・・・・・」
授業が終わり、教室を去ると大広間に行くものと寮に帰るもの、そして
のもとに行くのに解れた。
ただひとり、ひのきは図書室へ向っていった。
杏がひのきを追おうとするが、桔平が首を横に振り、
「独りにした方がいい」
と言い、止めた。



その頃・・・意識だけあるは・・・・


《生徒の声が聞こえる・・・・今日の授業が終わったのね・・・》
そのときに近づく1つの影があった。

「まだ寝てんのかよ・・・お前がいないだけであいつらの調子が狂ってんだよ」
と喧嘩口調でそういい、去っていった。
《今の口調・・・・亜久津君?私、亜久津君までに迷惑掛けてるの?》
は不安を抱く。


そのあとまた1つ影がに近づく。
・・・・俺はお前に酷いことをしてしまった。一度お前に謝りたい。
 だから・・・目を覚ましてくれ」
そういいの手を握る。
《この声って・・・跡部君?》
そう、跡部は国光の目を見計らっての状態を見に来ていた。
跡部は国光たちがそろそろ来るだろうと思い、去っていった。



跡部が去ってから数分後、国光たちがのもとへ戻ってきた。
「ただいま、」()
「今日も何もなく授業が終わったよ」()
「スネイプの授業は相変わらずだけどね」()
達は早速に話しかける。
《お帰り。。報告いつもありがと》
と意識だけで返事をする。


「昨日から授業が始まったが、のノートはしっかり俺がとってある。
 心配せず、ゆっくり療養しろ」
国光は不器用ににそう言う。
《国光・・・ありがとう・・・》


「やぁ、ちゃん。様子見に来たよ」(周助)
「おっれも来たよ〜ん」(英二)
「英二、ここは医務室だぞ。ボリュームを少し下げろ」(秀一郎)
「ほっほ〜い」
「ちーっす、先輩」(桃)
「お見舞いに来たっす」(薫)
「あとから桔平たちも来るって言ってたよ」(隆)
「今日の見舞い率はかなり高いだろうな」(貞治)
「でも亜久津はきそうもないけど・・・」(リョーマ)

《周助君、英二君、秀一郎君、桃君、薫君、隆君、貞治君、リョーマ君・・・
 いつも逢いに来てくれてありがと。でもねリョーマ君。亜久津君さっき来たのよ》


「あら、今日はやけに多いのね」
彼らに割り込んできたのは医務室のマダム・ポンフリー。
「「「こんにちは、先生」」」
「こんにちは、今から検診するからどいて頂戴」
そういわれ、彼らはその場から離れる。
ポンフリーは手際よくを調べていく。

「先生・・・は?」
検診結果を知りたい国光は問いかける。
「そうね・・・魔力も大分戻ってきてるからそろそろ目を覚ますわね・・・
 でも・・・・・」
「なんですか?」
言いかけたポンフリーに手塚は問いかける。
「暫くはベッド生活になるわ。移動の時は車椅子ね」
それを聴いた12人は唖然としてしまった。


今まで通りに過ごせない・・・・・


ポンフリーの言っていた言葉はもちろんにも届いていた。
《そっか・・・今の状態ならそうかもね・・・でも、時間がそれを解決するなら・・・
 でも・・・》


「そうですか・・・」
国光はそう呟きながらの手を握る。

《このまま寝てなんていられない・・・起きたい!!》
の強い願いが手に宿り、国光の手を少しながら握り返したのだ。


??」
国光の手に少しながらでもの手が動いたのに気づいた。
よく見てみると、の手は国光の手を握り返していた。



「国光、どうかした?」
国光の表情に不思議に思った周助は声をかけ、手を見てみると
ちゃん、少し動いたんだね?」
と問いかけると、何も言わず国光は頷く。
「「「えっ!?ホント!!」」」
と彼女達は声を上げ、国光のほうに行くと・・・・・
の手が、国光君の手を握り返してる」()
「少しずつだけど確実には回復してる・・・」()
「見て、ゆっくりだけど指が動いてる」(

この感動に彼女達は涙する。
そして彼らはホッとした顔をしていた。



そのあと侑士たちにこのことを話すと、物凄く喜んでいた。

「それじゃ先輩が目覚めるのもあと少しって言うことですね?」(太一)
「うんうん、ラッキー↑だね☆」(清純)
「よかったですね、はじめさん」(裕太)
「ええ、裕太君」(はじめ)


彼らが喜んでいるのを、聴いた亜久津と跡部はホッとしていた。
亜久津は亜久津なりでかなり気にしていた。
跡部は自分があんなことをしてしまったことで、かなり気を掛けていた。



それからまた見舞いする特待生はあとを経たなかった。
「ホンマや。ちゃん、ゆっくり動いてる」(侑士)
「早く眼が覚めるといいな。国光?」(岳人)
「ああ」(国光)
「ふぁ〜〜〜あ。俺も眠くなった・・・ちゃんと寝る・・」(ジロ)
慈朗がのベッドに入ろうとすると・・・
「ダメッすよ、ジロー先輩」(長太郎)
「ウスッ!」(崇弘)
長太郎が止めに入り、崇弘がガバッと慈朗をベッドから離した。
「寝るんなら寮に帰れ!!」(亮)
「チェ・・・・」

「ダメですよ、ここで大声出しちゃ」(太一)
「そうだよ。場所を考えなきゃ☆」(清純)
亮の声に太一と清純が注意する。
「英二もだぞ」(秀一郎)
秀一郎も追い討ちを掛けるように言う。
「わーってるよ」(英二)
「ちなみに、桃と薫もだな」(貞治)
「「俺ッスか!?」」
貞治の言葉に2人は同時に言った。
「ああ。2人はどこでも喧嘩を始めるからね。ここで何回やったことやら・・・」
データノートをパラパラと見せ付け、眼鏡を逆光させる。
「解ったっす」(桃)
「ふしゅ〜〜」(薫)


「よかったですね、ひのきさん」(杏)
「ああ・・・・」(ひのき)
ひのきはそう応えながらも眼には涙が溜まっていた。
「ひのきさん、最近泣いてばっかっすよ」(アキラ)
「らしくないですよ・・・だいたいひのきさんに涙は似合わないんだし・・・」(深司)
「おい2人とも、そこまでにしてやれ」(桔平)
「「はーい」」
桔平はそういい、ひのきの慰めに入った。


「桔平・・・よかったよ・・・ちゃんが・・・」
「ああ」
「またここ借りる」
ひのきはそういうと桔平の胸に顔を押し込んだ。


「ひのちゃん・・・」()
「ひのきにとってははこのホグワーツにいるたった一人の血縁だもんね」()
「いいな・・・姉妹って・・・」(
「兄弟や姉妹っていいもんだね、改めて・・・」(周助)
「兄貴・・・そうだな」(裕太)
「にゃんだか兄ちゃんや姉ちゃん達に会いたくにゃった」(英二)
「それに家族にも・・・クリスマスは帰らなかったからね」(隆)
「そうですね・・・次はイースターですが、帰れるといいですね」(はじめ)



それからまた数日に入って1月の最後の週に入った。

第19話へ行く

Parallel Topへ戻る