桃の花が咲き誇り、卒業の時期がやってきた。
卒業
今、どこの学校も卒業に向けて準備が行われていた。
もちろん、青学も・・・・・・・
3年は授業がほとんど卒業式の練習になり、時を過ごしていた。
指示通りに立ち上がったり、礼、着席までいろいろとしている。
3月に入り、彼女達は残りの中学生活を過ごしていた。
「ホントに卒業だね・・・」()
「うん・・・・」()
「あっという間の3年間だったね・・・」()
「そうだね・・・入学したのが昨日のように思える・・・・」()
彼女達は休憩の合間に話をしていた。
このシーズン、特に卒業する女の子は誰でもおセンチになるものだ。
だけど、彼女達はこのまま一緒に高等部に上がる。
あまりその実感は感じてはいなかった。
『練習を再開するぞ!!全員、席にもどれ!!』
先生の声とともに彼女達は指定の席へと戻っていき、練習を再開した。
時間は過ぎ、下校の時間となった。
「vv一緒に帰ろうか?」
彼女達が1組にいると、必ずとして不二と菊丸がやってくる。
「周助君vvうん」
「〜〜、か〜えっろ!!(抱き)」
「解ったから、抱きつかないで」
「、帰ろっ!」
「うん。国光・・・」
「ああ」
7人が下駄箱につくと、越前が待っていた。
「あっ、リョーマ!!」
「帰ろ、」
結局いつもの8人で下校するようになる。
「いよいよ明日ね・・・・」
歩きながらが呟いた。
「そうだね・・・もう中学が終わるんだ・・・」
に続き、も話し出す。
「そういえば、手塚。答辞は大丈夫そうだね」
「ああ。もうしっかりと頭の中にある」
不二が問いかけると、手塚はあっさりと答える。
「でも、もで最後までピアノ弾かなきゃいけないなんてね〜」()
「そうそう、卒業するのに引き受けちゃうもんね〜」()
「だって〜〜・・・」
「断れなかった!!でしょ?」()
の問いかけにコクリと頷く。
「あっれ〜。オチビ、今日はやけに静かじゃん」
「そんな事ないっすよ・・・」
いつもなら話に割り込む越前に不審を抱いたのか、菊丸が問いかける。
だが、越前はあっさりとそう言い少し黙り込んだ。
「「「「それじゃーね!!」」」」
それぞれ別れ、家路に向って帰っていった。
だが越前はあれ以来、を家までしっかりと送り届けていた。
「・・・・」
黙っていた越前がに話しかけた。
「なに?」
「ホントに卒業しちゃんだ・・・」
「どうしたの?それは前から知ってたことじゃない」
「そうだけどさ・・・・いざ、明日だと思ったら・・・・」
越前はどういったらいいのか分からなくなり、また黙り込む。
はその姿を見て、クスリと微笑み越前と向き合う。
「寂しいなんていったら、怒るよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「受験前にも言ったけど、逢おうと思えばいつでも逢えるんだよ。
そりゃ、あたしも高等部に行ったらリョーマの顔見れないけど・・・
休みとか逢おうよ。ねっ?」
の説得に越前はひとつため息をつき、コクリと頷いた。
「じゃ、次の休み逢おう。約束」
「うん」
そして、卒業式の当日を迎えた。
いつものように生徒が校内に集まって来た。
時間は過ぎ、卒業式が始まる。
『卒業生、入場』
周りの拍手とともに1組から卒業生が入場してくる。
手塚や、不二たちの姿を見て泣く女生徒たちは多く、泣声が講堂内を覆う。
校長の話やPTA会長の話を終え、
『卒業証書、授与』
その言葉とともに、各担任が生徒の名前を1人1人と読み上げていく。
『手塚国光』
「はい」
『』
「はいっ」
『』
「はい」
そしてクラスの最後の名前を呼ばれ、クラスの代表が卒業証書を取りにステージに上がる。
1クラスが終わると、次のクラスの名前が読み上げられる。
『大石秀一郎』
「はいっ」
『』
「はいっ」
『』
「はいっ」
『河村隆』
「はいっ」
『菊丸英二』
「はいっ」
『不二周助』
「はい」
『乾貞治』
「はい」
さすが手塚たちの名前が上がると、女生徒の声はまた悲しみの声が・・・・・
在校生からの送辞を終え、
『答辞 卒業生代表 手塚国光』
「はい」
手塚は返事をし、ステージへと向ってゆっくりと進む。
『答辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
手塚が1ヶ月前から考えに考えた答辞を読み上げていき・・・・・
『卒業生代表、3−1、手塚国光』
そういうと、盛大な拍手が講堂に広がった。
『仰げば尊し 伴奏、3−1、』
「はい」
今度はが立ち上がると、全校生徒も立ち上がった。
はゆっくりとピアノに行き、座り、伴奏を始めた。
仰げば尊し・・・・卒業には定番の曲。
1曲終わると、はそのままで次の校歌を弾く準備に入る。
そして、校歌を歌い終わるとは指定の席へと戻った。
『これにて第○×回 青春学園中等部卒業式典を終了します』
式典が終わり、卒業生は退場していった。
そのなかでやはり数十名の女子は涙を流していた。
クラスでの最後のHRを終え、中学生活の全てが終わった。
そして、ここからがまた嵐のように起こるのだった。
特に彼らにとって・・・・・・
「、!!」
とが1組に顔を出してきた。
「行こっ、」
「うん」
とは荷物を持ち、2人のもとへといった。
そして4人は音楽室に向う途中・・・・・・・
ドタドタドタドタ・・・・・・・・・・・・・・・・
物凄い勢いで大石、河村、不二、菊丸、乾が廊下を走っていった。
その姿に吃驚し、唖然とする彼女達。
そして、彼らの後から・・・・・・・
「せんぱ〜〜〜〜い!!第二ボタン、私にくださ〜〜〜い!!」
と女生徒たちが彼らを追っかけていった。
「い・行こっか・・・・」
「「「うん・・・」」」
彼女達は唖然としながらも音楽室へと向った。
「「「「先輩!!卒業、おめでとうございます」」」」
コーラス部員たちは彼女達に花束を渡し、卒業を祝った。
「「「「ありがと」」」」
花束を受け取ると、がボロボロと涙を流しだした。
「っ、泣くのはちょっと早いわよ」()
「そうだった」()
は涙をふき取り、微笑む。
「早くやろうよ!!」()
「ここで歌うの、今日で最後なんだから!!」()
とが急かすように言う。
は仕方ないな〜と言わんばかりに、ピアノの前に座った。
「それじゃ、2曲だけどやろ」
鍵盤の蓋を開け、伴奏を始めようとした時・・・・・・
ガラガラ・・・・バンッ!!
物凄い音とともに手塚らが音楽室に入ってきた。
「国光っ、どうしたの?」
急いで入ってきた彼らにが問いかける。
「すまないが、かくまってくれ」
「どういうこと?」()
「ファンの子達から追われてるんだ。第二ボタン目掛けて」(大石)
「ホント、女の子達って恐いよね・・・」(河村)
「それは災難で・・・・・」()
「〜〜〜〜そんにゃこといわにゃいで〜〜(抱き)」(菊丸)
「卒業式にこうなることは解っていたんだが・・・・予想外に来てしまってな」(乾)
「という訳なんだ」(不二)
「そういうことなら・・・・・」()
その頃、校舎内では彼らの名前を呼ぶ声が耐えなかった。
結局、そのあと桃城、海堂、越前も音楽室にやってきて・・・・・
「達・・・・歌うの?」
「うん・・・・2曲だけどね」
そして彼女達は改めて、歌を歌い始めた。
グランプリを取った曲と・・・・・・自分達で選んだ卒業にまつわる曲を歌った。
暫くして、竜崎先生が彼らを見つけ出しテニスコートへと連行した。
もちろん、彼女達も一緒に。
彼らも彼女達と同じように、花束を受け取り卒業を祝われた。
そして、周りのギャラリーも人一倍凄かった。
「はい、。これあげる」
不二はにこやかに微笑み、に1つのボタンを渡した。
「これ、第二ボタン?」
が問いかけると、周りのギャラリーが騒ぎ始める。
「そうだよ。せっかくだからみんなの前でってね」
「ありがとっ、周助君vv」
「ほい、。俺の第二ボタン」
「英二・・・」
「さっきね、追われてるときに不二と相談したんだ。
どうせあげるなら、彼女にってね」
そう言い、にボタンを渡す。
その姿にそれぞれのファンクラブの女子は諦め、去っていく姿が見えた。
「・・・・」
「ん?」
手塚も不二達と同じように、にボタンを差し出した。
「国光・・・・」
「取られるくらいなら、お前に持っててほしい」
「ありがとう」
はボタンを受け取り、嬉しそうな顔をする。
「いいな〜〜、ももも・・・」
は3人の姿に羨ましがる。
「欲しいの?ボタン・・・・」
その姿に越前が問いかける。
「そりゃ〜ね〜〜」
の答えに、越前は今つけているボタンをブチッとちぎり取った。
「ハイ・・・・あげる」
越前は不器用ににボタンを差し出した。
「リョーマ・・・」
「オレ、まだ卒業じゃないけど・・・・持っててよ」
「うんvv」
「いいよね、あげれる人がいるって」
河村は手塚たちの姿を見てそういうと、大石も頷いた。
「そうだな・・・」
「ん?大石・・・・大石にはあげる人物がいるんじゃないのか?」
乾はいつものデータ帳をパラパラとめくりながら、大石に問いかける。
その言葉に大石は何も言わなかった。
時間は過ぎ、生徒もまばらになってきたとき・・・・・
「手塚せんぱ〜い!!」
「不二先輩!!」
2人の女生徒が2人のもとへとやってきた。
「にか・・・・」
そう、彼女達は女テニのレギュラー。手塚たちとも面識はある。
「どうしたの?」
不二が問いかけると、
「卒業、おめでとうございます」
2人同時にそう言った。
「ありがとう」
不二はにっこりと、手塚はいつもと同じ表情でそう答えた。
その言葉に2人は小さくガッツポーズをしていた。
「おい、。お前、何やってんだ?」(桃城)
「桃城には関係ない。私は不二先輩にお祝い言いに来たの」()
「おい・・・そんな言い方はねーだろ」
「何よ・・・・」
またこの2人は威嚇し始める。
「あ〜あ、また始まった・・・」
その姿にはため息をつく。
2人の言い争いに気づいたのか、が手塚に話しかけた。
「国光・・・いいの、あの2人・・・」
「ああ・・・あの2人はいつものことだ」
「そうそう、ほっとけばいつかは収まってますから・・・・って先輩だ!!」
はが側にいたことに吃驚し、声をあげる。
「な・なに??」
いきなり声をあげられ、は戸惑う。
「あっ、吃驚させてゴメンなさい。2年7組のです。
女テニの副部長してます。あたし、先輩にず〜っと憧れてたんです。
お話できて嬉しいです」
そう言い、はの手を硬く握り締めた。
「あっ、ヨロシクね・・・さん・・・」
「おい、お前・・・先輩に何してんだ」
ふしゅ〜と息をはきながら、海堂がに問いかけてきた。
「別にいいじゃん。先輩と仲良くしていただけだし〜〜」
そういい海堂に舌を出していた。
「・・・そろそろ・・・」
が声をかけてきた。
「うん・・・」
はの手を離し、
「国光・・・・行こっ」
「ああ」
3年生はコートから出て行った。
それを見送る1・2年生。
といっても越前はしっかりと着いていってた。
「おい、海堂。俺達も行こうぜ」
「ああ」
「、あたし達もイコ」
「うん」
2年の4人も彼らを追ってコートを出た。
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