がドイツに旅立った頃・・・・



GEBURTSTAG(ゲブーツターク)




手塚は家に戻り、家族にまたドイツに行くと話した。
突然のことで家族は驚く・・・・・・はずなんだが…

「いってらっしゃい。話しは凪さんから聞いているから」
「私たちのことは気にしなくて良いからな」
「女御を泣かせるんじゃないぞ」


とまぁ、あっけなく許しが出た。
まんまと夫妻にやられた手塚は、眉間に皺を寄せながらも荷造りを始めた。
大体の荷造りが終り、家族のいるリビングに入ると、また母親に呼ばれた。

「そうそう、貴方の休学届はもう許可おりてますからね…それから」
母、彩菜は手塚に封筒を渡した。
「これは?」
「私たちからの気持ちよ」
封筒を開けてみると、数枚のお札が入っていた。
「ですが…」
断ろうとするが、にっこり微笑まれ手塚はありがたく貰うことにした。



その頃・・・・
飛行機の中は消灯していた。けど、眠れず外の風景を観ていた
、眠れないのか?」
隣からカップを持った父、貴久が声をかけてきた。
「うん…」
「ほら、ミルクティーでも飲んで温まりなさい」
「ありがとう…パパ」
カップを受け取り、ゆっくりと飲み始める。

「よかったな…国光君と寄り戻せて」
は何も言わず、コクリとうなずく。
「一応、コレ持ってきたんだけど…いらないよな?」
コレと言いながら出してきたのは・・・・・
「あっ!!!どうしてここに【くにみつ人形】が!?」
そう、お手製の手塚人形。
「寂しいかと思って…」
は手塚人形を取り戻し、カップを返すと
「おやすみ!!」
毛布をかぶり、貴久に背を向けた。
そんな姿に、貴久もクスリっと微笑む。


「国光・・・・早く逢いたい…」
毛布の中で、手塚人形を抱きしめ、は眠りに入った。




打って変わって、日本の朝。

「では、行ってきます」
手塚は家族にそう言うと、空港へ行くため駅に向かっていた。
駅に着き、切符を買おうとしたとき、
「国光君!!」
と声をかけられた。
振り向くと、車の中にの母、凪が手を振っていた。
「おはようございます」
「おはよう、ここで待っててよかったわ。さぁ、乗って。空港まで連れていってあげる」
「はい…ありがとうございます」
凪の車で2人は成田に向かった。



時間は経ち、搭乗時間になった。
「国光君、をお願いね」
「はい、行ってきます」
手塚は頭を下げ、凪から去っていった。


「そろそろ向こうはドイツね…国光君が合流するのは…夕方になるのかしら…」



ドイツはまだ夜中だったため、一行は予約したホテルに入り、
また部屋で休む形になっていた。
その中でも、貴久はもう1人入ることをホテルマンに話していた。
手続きをしてもらい、これで手塚を迎え入れる準備は整った。

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