3頭犬に出会って、数日が経った。




動き出した運命





あれから数日経ったが、さほどのことは起こらなかった。
特待生たちはいつものように、学校生活を送っている。
だが・・・・・・そんな事はすぐに変わってしまう。



授業が終わり、青学メンバーは大広間に移動していると、
ハリーたちとすれ違った。
だが、ハリーたちの顔は真剣な眼差しをしながら教員室に向って走っている。

「ハリーたち、何急いでんだ?」(桃)
「さぁ?」(リョーマ)


それからまた数時間後、今度は国光とだけがハリーとすれ違った。
たまたまと接触し、

「ゴメン、
「ううん。ハリーこそ大丈夫?」
「僕は大丈夫。それじゃ」
簡単に話し、ハリーは寮へと戻っていく。


ダンブルドアがいない・・・・
 スネイプに賢者の石が奪われてしまう・・・
 もう、僕たちしかいない!!


ハリーの心がに流れてきた。

「えっ?」
心を読み取ったは、思わず振り向く。
「どうした」
「うん・・・さっきハリーの心、読んじゃって・・・・」
そう言い、は口ごもる。
「なにかあったんだな?」
そんなの態度に、国光も察し問いかけた。
は何も言わず、コクリと頷く。
「ダンブルドア先生、今いらっしゃらないって・・・それに・・・・」
が話していると、後ろから冷たい視線が2人に向けられた。

『諸君、こんな日にはこんな所にいるもんじゃない』
スネイプだ。何故か今日は、愛想よく微笑まで浮かべていた。
「スネイプ先生・・・」
『もっと慎重に願いたいものですな。こんなふうにウロウロしていると、
 何か企んでいるように見えますぞ。さぁ、もう行きたまえ。
 寮の減点はされたくないのであろう?』
スネイプはそういうと、大股で教員室の方に歩いていった。


「今日のスネイプは機嫌が良いな・・・」
「そうみたいね・・・それにしてもさっきのハリーの心と何かが・・・」
「さっき言いかけたことか・・・」
「ウン・・・実は・・・」
はスネイプが賢者の石というものを狙っている事を話した。
「賢者の石?」
「それが何かは知らないけど・・・」

2人で話していると、周助とがやってきた。
「あっ、いたいた。国光」
「どうした、周助」
「さっき、ハリーたちの会話を聞いてしまってね。どうやら今夜動くみたいだよ」
「そうか・・・・集合をかけよう」
携帯を取り出し、城内にいる青学メンバーを呼び寄せた。


「今日こそ、ハリーたちを止めないとね」(英二)
「でも、賢者の石って・・・・」(
「なに?」()
「さぁ・・・でも、大切なものなんだろうね」(隆)
「しかし、ダンブルドア先生がいないとなると・・・・」(秀一郎)
「今夜っすか・・・」(薫)
「さて、作戦を練らなければならないな・・・」(貞治)

色々な案を出していくが、どれも良いとはいえない。

「どうするんッスか?」(越前)
「難しいよね・・・しかも夜だし・・・」(
「僕たちが出るわけにも行かないしね・・・」(周助)
「多分、あいつらのことだから止めに入ったら即、魔法かけられちゃいますよ」(桃)
「ハーマイオニーがいるからな・・・」(国光)
「そうね・・・無謀だけど、やってみようかな?」()
は携帯を取り出し、どこかにかけ始めた。


『はいは〜い』
「あっ、ひのき。ちょっと話しあるんだけど・・・・」
ちゃんがそんな事言うなんて、珍しいこともあるんだな。何だ?』
「この前、寮を入れ替わって見たいって言ったわよね?」
『言った言った!!なに、乗ってくれんの?』
「今日の夜だけ、やってもいいわよ」
『よっしゃ〜〜〜!!そんじゃ、大広間で待ってんから!!』

電話を切り、再び話を戻した。
「私がひのきと入れ替わって、グリフィンドールに行く」



それからまた作戦を練り、実行に移すことになった。



夕食時、ハリーたちは離れて食事を取っていた。
そんな3人を見ながらも、特待生たちも食事を取った。


「それじゃ、ひのき」
「おうよ!!」
双子はローブ、ベスト、ネクタイだけを交換し、ひのきはダテ眼鏡、はコンタクトをした。

「「ジャーン!!」」
双子はチェンジし、青学メンバーに披露した。
「双子って凄いッスね・・・」(桃)
「見事に入れ替わってる・・・」(薫)
「これなら大丈夫だね」(隆)
「ああ」(秀一郎)
「さて、ひのき。君はレイブンクローに行くんだ。解っているだろ?」(貞治)
「ああ、しっかりとちゃん演じるぜ。任せてくれ!!」(ひのき)
もね」()
「まっ、いざとなったらフォローするから」(
「ありがと」()
「そんじゃ、作戦結構だにゃ」(英二)
「今日は寝れないっすね」(リョーマ)
「何かあったら、すぐ連絡してよ」(
「OK」()
「それじゃ、寮に戻ろう・・・」(周助)

5階にあがり、寮への分かれ道に着いた。
・・・何かあったらすぐ電話しろ」
別れの際、国光がそう言った。
「うん・・ひのき、ヨロシクね」
「ああ」





レイブンクローに入ったひのきというと・・・・・・

「うわっ・・・・みんな本読んでるよ・・・」
「毎日の日課だからな・・・それと・・・今はだろう・・・」
「でした・・・・国光vv」
ハートマークを飛ばすように、名前を呼ぶと眉間に皺を寄せた。
「お前に言われると、なんだか嫌な感じがする・・・」
「なんだと!!」





時間も過ぎていき、就寝時間がやってきた。

グリフィンドール寮生たちが少しずつ寝室に行き、談話室は人気がなくなってきた。
達も一度、寝室に移動し、彼らが動き出すのをただひたすら待った。
ちなみに、談話室の様子をリョーマの眼力で見張ってもらっている。

「どうだ、リョーマ?」(桃)
「今、ジョーダンが寝室に行った。あの3人だけっす、残ってるの・・」(リョーマ)
「そろそろかにゃ?」(英二)
「あっ、ハリーが何か持ってきた。!!」
「聞こえてるよ・・・行こう」

6人はそっとドアをあけ、談話室に出ると・・・・・

「ここでマントを着てみた方がいいな。3人全員隠れるかどうか確かめよう・・・
 もしも足1本だけはみ出して歩き回っているのをフィルチににでも見つかったら・・・・」

「お前ら、何やってんだ?」
ひのきに扮したが3人の前に現われた。
「なんでもないよ、ひのき。なんでもない」
ハリーは急いでマントを後ろに隠した。
「また外にでるつもり?」
の言葉とともに、4人も現われる。
「ううん。違う、違うわよ。出てなんかいかないわ。6人とも、もう寝たら?」
ハーマイオニーは何とか誤魔化そうとする。
そんな彼らの前に、ハリーは柱時計をみて焦り始める。
「外には出てはダメ。これ以上減点されたいの?」(
「そんにゃことしたら、また軽蔑されちゃうよ?」(英二)

「君たちには解らない事だけど、これはとっても重要なことなんだ」
ハリーは6人をすり抜けるように歩き始めるが、
「行かせないよ・・・」(リョーマ)
「行かせるわけにはいかねーな」(桃)
リョーマと桃がハリーの道をふさぐ。


「どうしても行くって言うなら、全力で止めるぜ・・・オレら・・・」
6人が肖像画の前に立ちはだかり、そういうと・・・・
ロンのかんしゃく玉が破裂した。
「そこをどけよ。バカはよせ・・・・」
「バカ呼ばわりされるとはな・・・お前ら、命惜しくはねーのかよ?」
「それは・・・・」
はハリーに近づく。
「言ったよね。自主的に動かないでって・・・・」
その言葉にハリーはハッと気づく。
?」
「「えっ?」」
「私たちの約束、守ってくれないの?」
はそう言いながら、コンタクトをとり眼鏡を掛けた。
・・・・どうして・・・」
「周助君たちが、3人の話を聞いてね・・・ひのきと入れ替わったの。
 ハリー、私たちの約束守れないの?」
「だって・・・ヴォルデモートが・・・・賢者の石・・・・」
「3人がそれを守ろうとしているのはわかる。だけどね、せっかく授かった
 命を粗末にしてほしくないの。特にハリー。
 貴方を守ろうとしたお父さんや、お母さんを思い出して」
「でも、僕たちがやるんだ!!」
そういい、6人の間を割っていった。

「いったよね。いかせにゃいって!!」
「オレたちマジだから・・・」
「来るんならいつでも来い」
3人はいつでも仕掛けれるように、構える。

「英二、リョーマ、桃。ほんとに、ほんとにゴメンなさい」
ハーマイオニーは杖を振り上げ、3人に杖の先を向けた。

『ペトリフィカス トタルス、石になれ』

3人の両腕が身体の脇にピチッと張り付き、両足がパチッと閉じた。
体が固くなり、その場でユラユラ揺れ、まるで1枚の板のようにうつ伏せにバタリと倒れた。

「英二!!」
「リョーマ!!」
「桃君!!」
倒れた彼らに駆け寄る3人。

「全身金縛りに掛かってる・・・」
が状態を見て、そういうと、
「数時間もすれば、元に戻るわ。ゴメンなさい・・・」
そういいハリーたちはとうとう寮を出て行ってしまった。


「行っちゃった・・・」()
「どうする?・・・」()
「どうすることも出来ない・・・とにかく3人を元に戻しましょ」()
は杖を取り出し、解除呪文を唱えると3人は元に戻った。

「うにゃ〜〜、まさか石にされちゃうなんて思わなかったよ〜〜」(英二)
「行っちゃったッスね・・・とうとう」(リョーマ)
「追いかけても同じだろうしな・・・」(桃)
背伸びしながら、肖像画のほうを見る。

「ここまでね・・・私たちが出来るのは・・・」
そういい携帯をとりだし、国光にかけた。

『そうか・・・・』
「うん。ひのきと入れ替わるわ。起きてる?」
『なんとかな・・・迎えに行く』
電話を切ると、ため息をついた。


「それじゃ、私レイブンクローに戻るね。おやすみ」
は肖像画を押し、廊下に出た。

『あらま〜〜、貴方まで出るなんて。ダメよ!!』
グリフィンドールの門番ともいえる『太った婦女』が注意するが、
がぺこりと頭を下げ、寮の分かれ道まで出た。

「ほい、ちゃん。オレの返して」
寝ぼけ顔で、ローブ等を渡すひのき。
「ありがと。もう早く帰って寝なさいね・・・」
もローブ等を脱ぎ、ひのきに渡すと
「じゃーな・・・」
そういい、寮へと戻っていった。

「戻るか・・・・」
「うん」
2人も寮に戻ろうとすると、周助、、貞治、隆、薫、秀一郎が現われた。
「皆・・・・」
「ちょっと気になってね・・・ひのきちゃんと入れ替わったってことは・・・」
周助がそういいながら、を見る。
「うん。失敗・・・3人とも行っちゃった・・・」
が下に俯き、そう呟いた。
「確率的に高かったからな・・・」
貞治は眼鏡をクイッとあげる。
「大丈夫かな・・・」
「無事だといいんだけど」
隆と秀一郎は3人の心配をする。
「待つしかないよね・・・」(
「ッスね・・・」(薫)
「ああ」(国光)
「もう、遅いから寮に戻りましょ。それと・・こんな状態だけど少しは寝てね。
 もし、明日までに戻ってこなかったら私たちも・・・・」
の言葉に、全員コクリと頷き寮へと戻っていった。



それから長い夜が更けていく。

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