とうとう、覚悟を決めた。 大石が中等部を卒業して、数日がたった。 あれからに会うこともなく春休みを過ごしている。 だが、大石にはまだの気持ちにゆらゆらと揺らいでいた。 「の気持ちか・・・・」 アクアリウムの手入れをしながら、ずっとこの調子だ。 “俺は・・・・・・・・あれからを1人の女性としてみてみた。 近くにいながら気づかない所があったな。 だが、俺なんかでいいのか?俺じゃ満足させれないかもしれない・・・・” そう思っていたとき・・・・・ ♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 大石の携帯が鳴り始めた。 「誰だろう・・・・」 携帯をとり、ウィンドウを見てみると『菊丸英二』と表示していた。 「英二か・・・どうしたんだ?」 大石は電話に出るとたんにすぐ問いかけた。 『あんね〜〜。大石は今から暇?』 「暇だけど・・・」 『よかった〜。今から街に行こうよ。買い物に付き合って』 菊丸の猫撫で声に大石は“やっぱりな・・・”と思いながら、 「いいよ。じゃあ・・・・」 と答え、待ち合わせ時間を言うと電話を切った。 「たまには気分転換もいいよな・・・」 携帯を見つめながら、そう呟き出かける準備をし始めた。 「ふっじ〜〜!!大石、来れるって」 「そう・・・これで上手く行くといいね」 「そだね・・・まっ、俺たちにとっては達へのお返し買いに行くんだけどね〜」 「いつもは僕らが貰ってばかりだからね・・・それより、手塚・・・なに黙ってるの?」 「いや・・・・・」 「変なの〜〜。でもオチビがこれないのは残念だにゃ」 「仕方ないよ。越前は今頃・・・・授業中だからね」 「また居眠りしてんのかにゃ?」 そして時間は刻々と過ぎていき、大石が待ち合わせ場所に来た。 「お待たせ〜〜〜って手塚と不二も一緒か」 「そうだよ〜ん。さっ、行こう行こう!!」 4人は街の中に入っていった。 「ところで英二、買い物ってなに買うんだ?」 「あんね〜、達にホワイトデーにあげる物だにゃ」 「そうか・・・もうそんな時期なんだな・・・」 「本当は僕と英二だけだったんだけど・・・手塚のことだから忘れてると思ってね。 僕が声かけたんだ。大石も渡す人いるんでしょ?」 不二はにっこり微笑むが、なにかを言えという顔で大石に問いかける。 「そ・それは・・・・・」 「た〜しか、ちゃんだよね〜?」 「英二・・・・」 「大石・・・俺たちはとうに知っている・・・隠すことはない・・・」 手塚の一声に大石はひとつため息をついた。 「そうか・・・確かににはお返しをしなきゃいけないとは思ってたけどね・・・」 大石はそういうと少し下に俯いた。 その姿に・・・・ 「そんにゃ暗い顔しにゃいの!!俺たちが相談に乗るから」 「そうだよ。僕たちのほうが恋愛に対しては先輩なんだから、何でも聞いてよ(にっこり)」 「話くらいは聞いてやる・・・あまり根詰めるな」 「英二・・・不二・・・手塚・・・・ありがとう」 大石は3人に今、自分がのことでこう思っていることを話した。 大石の話をしっかり聞き、不二と英二はアドバイスとかをした。 「そんじゃ、さんが頑張ったなら今度は大石の番だね」 「だけど・・・何をあげたらいいのか・・・」 「幼馴染みにゃらそれくらい解るんじゃにゃいの?」 「さすがにそれは・・・・」 「彼女の欲しがるものか・・・」 「う〜ん・・・・」 彼らが悩んでいると、鶴の一声が掛かった。 「それは、大石君の気持ちじゃないのかな?」 聞きなれたソプラノの声に4人は後ろを振り向くとが立っていた。 「さん・・・・」 「こんにちは。4人の姿が見えたから来てみたの。で、話を戻すけど・・・・ さんは物とかじゃなくて、大石君の素直な気持ちが知りたいんじゃないのかな? 卒業式のときも、大石君のことでかなり思いつめていたから・・・・ 大石君の気持ちこそが、最高のプレゼントだと思うよ」 の言葉に大石は心を打たれた。 “確かにそうだ・・・今の俺の気持ちを春菜に・・・・” 「それ、いいね・・・大石、そうしたら?」 の意見に不二が賛成する。 「そうだな・・・・さん、いい意見をありがとう」 大石はににっこりと微笑み、お礼を言った。 「ところで、さん1人にゃの?」 は〜〜?と言わんばかりに菊丸が問いかけてきた。 「そうよ。残念ながらとはいません」 「買い物か?」 「うん。新しい楽譜を取りにね。あっ、もう行かなきゃ。それじゃーね」 は彼らに手を振り、去っていった。 「さすが女の子だね。に僕の気持ちをあげるとしようかな?ホワイトデーは」 「でも〜、俺にあげるもん考えてるし〜〜」 「それはそれでいいんじゃない?」 「だよね〜〜。手塚はどうすんの?」 「さんのあの言葉を聞いてどうする迷ってるでしょ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 それから彼らは彼女のために買い物を済ませ、それぞれ家路についた。 その頃・・・・・・ 中等部では授業が終わり、下校する生徒で散乱していた。 もちろん、その中にもいた。 が正門を出ると・・・・ 「さん」 を呼ぶ声。 振り向くと達4人がいた。 「先輩・・・・」 「こんにちは、坂下さん」() 「こんにちは・・・」 「今から時間ある?」() 「話したいことがあるんだけど・・・」() はコクリと頷いた。 「それじゃ、行こう」() 彼女達が移動し始めようとした時・・・・・・ 「あ〜〜〜〜!!せんぱ〜〜い!!」 達の姿を見つけた途端、がを引っ張りながらやってきた。 「さん・・・それにさん・・・」 「こんにちは、先輩。もう、!!腕引っ張らないでよ」 「メンゴ・・・先輩たちは今日はどうしたんですか?」 は達にそう問いかけた。 「ちょっとね・・さんに話があるから・・・」 「さん?」 はの顔を見て『あ〜〜』といった。 「先輩、私たちも一緒していいですか?」 「ちょっと、・・・」 の問いかけに達は動揺するが、 「いいんじゃない。別に・・・」 とがそうこたえた。 「・・・」 「女の子同士だし・・・あたしたちが高等部に上がった時、さんまた1人になっちゃうもんね。 こうなったらこの2人にも協力してもらお」 の言葉に3人は了承し、も頷いた。 「それじゃ、行こう」 改めて移動しようとすると、「・・・」と呼ぶ声。 「リョーマ」 「何やってんの?」 現われたのはレギュラージャージを着た越前。 「うん。坂下さんに用があってね」 「ふ〜ん・・・で、なんで先輩や先輩までいるの?」 「「いいじゃない!!越前には関係ないでしょ!?」」 「ゴメンね、リョーマ。あたし達もう行くから」 「14日の日、遊びに行ってもいい?」 「うん。待ってる」 彼女達はひとまず静かな公園に入り、話をし始めた。 今日の昼に大石たちに逢ったことをが話し、14日のことも話した。 「へぇ〜、周助君たちが大石君を誘ってたんだ〜〜」() 「ということは、菊丸君と不二君、手塚君も用意してるんだ〜〜」() 「でもの言った事は確かにさんにとっては一番いいものだよね」() 「うん・・・大石君がどう答えるのかは解らないけど、ちゃんと返事してくれると思う。 だからさんも・・・ねっ、ちゃんと大石君に好きだって伝えよ。もう1回」() 「・・・・・・・・・・・でも・・・・」() 「大丈夫だよ。大石先輩だもん、ちゃんと返事するよ」() 「そうだね。大石先輩だからこそちゃんとした返事を出すと思う・・・」() 達の説得により、はもう一度大石に告白することを決意した。 「ところで、この子がまた1人になっちゃうって先輩言ってましたけど・・・ どういうことなんですか?」 移動する前のの言葉にが問いかけた。 「それがね・・・」 が答え、2人に教えた。 「ふえ〜〜〜、大石先輩のストーカー・・・」 「それで同級生に友達が・・・・」 「貴方達はあと1年しかないけど、さんを頼めないかしら」 「先輩に頼まれちゃ、断れませんよ。ねっ、」 「ったら・・・解りました。時間がある限り、坂下さんといるようにします」 「ありがとうございます。先輩・・・・」 そして14日・・・・・・・・・ 朝10時を過ぎ、大石がとうとう動いた。 隣のの家に行き、彼女を呼び出した。 「朝早くにすみません。、いますか?」 インターフォンにそういうと、『ちょっと待っててね』と答えられた。 暫くすると、が出てきた。 「秀ちゃん・・・・」 「少し、いいか・・・」 「うん」 2人は少し離れた公園に入り、近くのベンチに座った。 そして沈黙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ “このままじゃいけないな・・・何かを言わなきゃ・・・” “秀ちゃんに想いを・・・でも・・・言わなきゃ!!” 「秀ちゃん!」 「!」 2人同時に名前を呼び、更に「なに?」とまで同時に言ってしまった。 「秀ちゃんから・・・」 「から・・・」 また沈黙が流れる。 「あのね、秀ちゃん・・・・」 が沈黙を破り、話し出した。 大石はの話を黙って聞いた。 「秀ちゃんは私のこと妹しか見てないのは知ってたよ。でもね・・・・・・ 中等部に入ってから秀ちゃんに女の人が周りにいるのがなんだが嫌だった。 それに秀ちゃん、気づけば先輩を見てたし・・・・ 先輩にはさすがに敵わないから、諦めようとしたよ。 でも先輩は手塚先輩がいるって解ってから、余計に秀ちゃんを気にし始めちゃったの。 バレンタインデーのとき、そのことを伝えようとした。でも秀ちゃんに『妹』って言われて 一気に崩れちゃった・・・・でも秀ちゃんのことはまだ好きなことは確かだよ」 「・・・・・」 の言葉に大石も意を決し、話し出した。 「俺はいつもが後ろを着いてくるのを当たり前だと想っていた。 だがバレンタインの日、からの言葉がずっと俺の中でよぎっていた。 チョコも見たしな・・・美味しかったよ。ありがとう、。 俺もあれから色々と考えた。そして答えるよ、・・・・」 大石はそういうと、ポケットから1つのラッピングされた箱を取り出し 「これが俺の気持ちだ・・・受け取ってくれるかな」 「秀ちゃん・・・・」 は箱を受け取り、「開けてもいい?」と聞き、大石はコクリと頷いた。 ラッピングをはがし、箱を開けてみるとボンボンのヘアゴムが1つとメッセージカードが1枚。 はメッセージカードを開けてみると・・・・ ボロボロと涙を流した。 カードには・・・・・ 『俺でよかったら・・・付き合おう』 「・・・・」 「秀ちゃん、大好き!!」 は大石に抱きついた。 そして、大石の胸の中で泣いた。 「これからゆっくりやっていこう」 大石はゆっくりとの頭を撫でてそう言った。 こうして新たなカップルが誕生した。 大石偏のホワイトデーッす。でもってとうとう大石の決断を下しました。 結構、迷ってたんですよ。大石の告白・・・言葉にするか、何かに残すか? でも結局カードで答えを出しちゃいました。どうかな?って感じだね・・・ これで5組目のカップル誕生だね。 このドリームに関するご意見、ご感想等をBbsにて受け付けています。 気軽に書き込んでいってくださいね。よろしくお願いします。 |
著者:瀬川音符