バレンタインから数日がたった・・・・





大石の気持ち






バレンタインの日、からのいきなりの告白に大石は悩むようになった。
そして、学校で逢っても目を合わせれない状態だ。


「ねぇ〜、大石」
休憩時間、菊丸が大石を訪ねてきた。
「どうしたんだ、英二?」
「あんね、大石。悩み、あるんなら聞くよ。最近の大石・・・なんかおかしいし・・・」
菊丸の言葉に大石は吃驚した顔をする。
「あ〜〜〜、なんだよ!?その顔は〜〜!!」
大石の表情に菊丸は不貞腐れる。
「えっ、ああ。ゴメンゴメン・・・英二からそんな言葉聞くとは思わなくてさ」
「にゃんだよ〜〜!!俺、大石の心配しちゃダメなのかよ?」
「そんな事ないさ・・・英二、ありがとう。でも、大丈夫だからさ」
大石はそう言いながら、菊丸の肩をポンッと手を置いた。
「んでも、何か悩んでるんだったら話してよね」
「ああ」
菊丸は少し安心したのか、自分の教室へと戻っていった。



その後、不二と手塚そして越前まで大石のところへ来た。
「大石、英二から聞いたよ」
「悩みがあるなら、俺たちに話せ」
「そうっすよ。それにの様子もおかしいし」
「3人ともありがとう。俺は大丈夫だからさ」
そう言い、話を終わらせようとした。


だが・・・・・
さんって・・・大石の幼馴染みちゃんだよね」
不二がの話を始めた。
「そうっすよ・・・あいつ、何故かオレに付きまとってくるんすよね。
 クラスじゃいつも1人みたいだし・・・」
「それは越前もそうじゃないの?」
「不二先輩・・・それはないっす・・・」
「そっか・・・堀尾君たちもいるしね・・・」
「だが、何故彼女は1人なんだ?」
大石は手塚の問いかけに、耳を傾けた。
「知らないっすよ・・・そんなの・・・」
越前が応えると、
「越前・・・それは本当なのか?」
と、大石が問い詰めだした。
「そうっすけど・・・・」
その言葉を聞くなり、大石は1年生の教室に向った。


「これはやっぱり何かあったね(クス)」
不二はそう言いながら、大石を見送った。






大石はに見つからないように、こっそりと1‐2の教室を覗いた。
そこにはの姿があった。
越前の言ったとおり、春菜は1人ポツンッと席に座っていた。
・・・・」
タイミングよく、予鈴が鳴り大石は教室へと戻っていった。





『秀ちゃんのこと、大好きなのに・・・・秀ちゃんのバカ!!』


この言葉と・・・・


『秀ちゃんのバカ・・・どうして気づいてくれないの・・・』


この言葉が大石の頭に過ぎる。

・・・・」
大石は授業にも拘らず、ずっと悩んでいた。




“そういえば・・・・俺が恋した時って・・・・”
大石は1年生の頃を思い出し始める。



―――回想―――

あれは入学してから、初めての委員会の時だった。
手塚と同じように学級委員をしていた大石。
テニス部でもよく話をしていたので、委員会の時も声をよく掛けていた。

「手塚君。君も学級委員なんだね」
「ああ、大石君もそうなんだな」
「先生に頼まれたからね」
他愛のない話をしていると、1人の女生徒が彼らのもとへやってきた。

「手塚君。そろそろ会議始まるわよ」
大石は手塚に声を掛けてきた女生徒にすっかり目がいってしまった。
「そうか・・・行こう、大石君・・・」
「大石君?」
彼女は俺の名前に?マークを出す。
「同じテニス部の大石君だ。大石君、同じクラスのだ」
手塚は俺を紹介し、更に俺に彼女を紹介した。
「6組のです。よろしく、大石君」
彼女は自己紹介をすると、手を差し伸べた。
「2組の大石秀一郎です」
大石は彼女の手を握り、握手をした。



それから大石は、を見かけるたびに目をやっていた。
あの『ミス青学』にも大石はに投票した。
そしてあの事件・・・手塚たちに聞いたときは大石も唖然とした。


あの事件前には手塚の想いに気づいてた・・・・
そして、さんも・・・・



そんな2人を見て、大石は恋に終止符を打ったのだった。


―――回想終了―――




そして・・・・いつの間にか授業が終わり、下校時間になった。


「大石君、ちょっといい?」
教室のドアを開け、が大石を呼び出した。
さん・・・・」
大石は廊下に出た。そこにはもいた。
「どうしたんだい?4人揃って」
「ねぇ、大石君・・・さんからチョコ受け取ったの?」
大石の問いかけにが話し出した。
の言葉に大石は固まる。
「えっ・・・・」
「その反応だと受け取ったみたいね・・・」
大石の行動を悟り、がそう言った。
「どうしてそれを・・・」
そのことを知っているのかと大石が4人に問いかける。
それをが応えた。
「実はね、私たちと一緒にチョコ作ったの。もちろん中身もね」
に続き、も話し出した。

「本当はこのことは伏せておこうと思ったけど、さっき偶然にさんに会って・・・
 それで様子がおかしかったから、話しかけても応えてくれなくて・・・
 もしかしたら、大石君と何かあったと思って・・・
 それで、ここからが本題。実はさんが言い出したことなの・・・」
はバレンタイン前の話を大石に話した。

「そうだったのか・・・それで・・・」
4人の話を聞き、大石はの気持ちを改めて知った。



その話をし終わり、達は大石の前から去った。





大石は鞄を持ち、下駄箱へと向った。
その時、見慣れたヘアスタイルの女生徒がいた。

・・・・・?”

大石は確かめるように彼女に近づいて行った。

「やっぱり・・・いつも1人なのか・・・」
大石は彼女の周りには誰もいないのに気づき、呟く。
それと同時に越前の言っていた言葉が頭の中でよぎる。 


『あいつ、何故かオレに付きまとってくるんすよね。
 クラスじゃいつも1人みたいだし・・・』


大石は意を決し、に近づいた。

「春菜っ」
大石はいつもと同じようにの肩をポンッと置き、名前を呼んだ。
その仕草に気づき、は後ろを振り向く。
「秀ちゃん・・・」
「今、帰り?」
「うん・・・秀ちゃんも?」
「ああ・・・一緒に帰るか?」
大石がそういうとの顔が明るくなり、「うん」応えた。


「こうやってと帰るのも、小学生以来だな」
「うん・・・私が青学に入学してからも、秀ちゃんはテニス部で忙しかったもんね。
 それに帰る時間も全然違ってたし・・・」
「そうだったな・・・は部活やらないのか?」
大石が問いかけるとは黙り込んでしまった。
歩きながらも沈黙が流れる。



「あんまり興味ないな・・・部活・・・」
沈黙の中、はそう小さく呟いた。
だが大石にはしっかりと聞こえていたようで・・・・
「でも部活やっていると友達も出来ていいと思うけどな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
、近頃ずっと越前と一緒にいるんだって?」
黙り込んだ春菜に、大石は話題を変えた。
「う・うん・・・席、隣同士だし・・・」
「越前なら、いい友達になりそうか?」
「わかんない・・・越前、手塚先輩に似てきて無表情だし・・・
 でも、先輩といる時の越前ってカワイイし・・・」
の言葉に大石はクスリと微笑んだ。
「そうか・・・」



時間は過ぎていき、互いの家の前についた。
「それじゃーね、秀ちゃん」
「ああ」
は大石に軽く手を振り、家に入っていった。
大石はそれを見送りながら、こう思う。


“あんなを見るのは初めてだ・・・学校のことになると絶対黙る。
 なにか原因とかあるのか?だけど、さん達とは仲良くしているみたいだしな・・・
 まさか・・・・・俺に関係したりするのか?”


そう思いながら、大石は自宅へと入っていった。




俺に関係することかも分からない。
だけど、はいつも俺の背ばかりを追っかけていた。
そして俺もそれが当たり前だと思っていた。
だけど、はいつの間にか・・・・・・・・




大石の心は大きく揺れ動いていたのであった。

はいは〜い、個人夢としては初だね、大石!!
バレンタインの翌日ということで書きました。というより、遅いかな・・・(滝汗)
今回は大石の気持ち(タイトルまんまや)をモチーフにやってみました。
さてさて、大石は少しながらのことを好きになっていきますよ。この分だと、ホワイトデーかな?
大石がに返事を出すのは・・・
次の話も楽しみにしていて下さい。
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気軽に書き込んでくださいね。よろしくお願いします。

著者:瀬川音符

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