いつのまにか、こいつは俺の近くにいた。





互いの憧れの人






「ねぇ〜〜、海堂〜〜」
いきなり名前を呼ばれ、海堂は後ろを振り向く。
見た途端、「お前か・・・」といわんばかりに、ふしゅ〜と息をはく。


「なんだ・・・」
「もうすぐ、先輩たち卒業しちゃうね〜〜。一度でいいから手塚先輩と
 ミクスド、やってみたかったな〜〜」
海堂にそうぼやく。
ぼやきに海堂は、聞く耳も持たなかった。

「ちょっと、聞いてんの?」
「ああ・・・お前の声は学校中に響き渡るからな・・・」
「ひっど〜〜〜い!!このちゃんの声をそんな風に言うなんて!!」
「その声が、学校中に広まる」

彼女、は女子テニス部の副部長をしている。
はキャラ的に言うと・・・・・桃城タイプといった所だ。
といっても、あの大食いまではないけど・・・・


「あ〜あ、手塚先輩に言ってこようかな〜〜。いまからやりませんか〜〜って」
が呟いているとき・・・・・・



“手塚先輩か・・・そういえば俺・・・・・”



―――回想―――

海堂が入学してからすぐのことだった。
廊下を歩いていると、1人の女生徒とすれ違った。
彼女は眼鏡を掛けており、セミロング。

そう、だ。

海堂はそのときはのことはどうとも思ってなかった。
だが・・・・



また数週間たったある日のことだった。


ドンッ!!


海堂と女生徒がぶつかった。
「痛っ・・・・」
「痛・・・・」
海堂はすぐ起き上がり、ぶつかった相手を見た。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・///


彼女は頭を抑えながら、蹲っていた。

「おい、大丈夫か?」
海堂はとっさに彼女に問いかけた。
その声に気づいたのか、彼女はこう応えた。
「あっ、大丈夫です。そっちも大丈夫ですか?」
「ああ・・・」
そう言い、海堂は彼女に手を差し出した。
だが、彼女の反応がない。


「おい・・・・・・」
なぜ、掴まらないと問いかけようとすると、彼女は周りを見渡す。
「眼鏡・・・・眼鏡・・・・」
彼女は廊下を這い蹲るように眼鏡を探す。
彼女の姿に、海堂も一緒に眼鏡を探し始めた。


「あった・・・」
海堂はフレームのない眼鏡を見つけ、彼女のもとへ持っていった。
「眼鏡・・・・あれないと、何も見えないのに〜〜」
彼女がそうぼやいていると、「これだろ・・・・」
海堂が彼女に拾った眼鏡を差し出す。
「えっ!?見つけてくれたの?ありがと」
彼女は上目で海堂を見上げ、にっこりと微笑んだ。
その微笑みに、海堂は顔を真っ赤にする。
手探りで眼鏡を受け取り、取り付けた。

「あ〜〜、やっとこれで周りが見える。ありがと」
彼女は立ち上がり、海堂に頭を下げた。
「いや・・・ぶつかった俺も悪かったし・・・」
「・・・あれ、君・・・新入生?」
「ああ・・・」
彼女に問われ、それを素直に応える海堂。


「なら、後輩になるのね。君、もう少し言葉遣いよくしなきゃ。
 一応、これでも私は2年生だからね」
彼女はそう言い、海堂を見上げた。
その時海堂は・・・・


“2年生だったのかよ・・・俺はてっきり同級生かと・・・・”


と思っていた。


「はい、解りました」
さすがに目上の人には逆らわないたちのため、すぐに彼女に頭を下げそう言う。
「うん。よろしい!」
彼女がそう言うと、後ろの方から「〜〜〜〜!」と先生の声が聞こえた。
「あっ、いけない。それじゃ、ぶつかってゴメンね。私、急いでるから」
そう言い、海堂から去っていった。



先輩か・・・・」


これが海堂の初めての恋・・・・初恋が始まったのだった。




それから、海堂はのことをどんどん知っていった。
彼女はコーラス部でピアノを弾いている。もちろん、全校集会の校歌の伴奏も。
そして手塚、不二、菊丸、河村、大石、乾といったテニス部の先輩とも仲がいい。
それから、彼女が一番歌が上手くて、人気もある。
海堂はもちろん、あの陰で行われていた『ミス青学』にも彼女を投票していた。
それで、を含む4人の女生徒が殺人未遂にあったことも・・・・


海堂はその事件の日・・・手塚が彼女を抱き上げ、保健室に入っていたとろこを見ていた。
そのあと、すぐ保健の先生は退出し海堂はドアに耳を当て、何やっているのか
盗み聞きを始めた。とその時、不二がやってきた。
「あれ、海堂・・・何やってるの?」
「・・・・・・・・・・不二先輩・・・なんでもないっす」
そう言い、一度保健室の前から去った。


不二が保健室を去ったのを確かめ、再度聴き始めると・・・・・

『私も、手塚君が好きです・・・・・他の誰よりも・・・・』
彼女のこの一言が聞こえ、海堂はふらふらになりながら保健室から去った。


“そうか・・・先輩は部長を・・・俺の初恋も終わったな・・・”
そう思い、自分で初恋に終止符を打った。



―――回想終了―――



「ねぇ、本当に聞いてんの?」
海堂はの声で我に戻り、ケッ・・・と言った。
「てめーなんか手塚先輩に相手されねーよ」
そう言い切った。
「やっぱそうだよね〜〜〜。手塚先輩には先輩がいるもんね〜〜」
「そういうことだ・・・」
「でも、手塚先輩と先輩ってお似合いだよね〜〜。
 文化祭の時、リボン渡そうとしたけど2人の姿見たとき終わったなって思った。
 手塚先輩もそうだけど、あたし先輩も好きなんだよね〜〜。
 あの人、なんだかんだ言っても綺麗だし優しいし・・・憧れもあるんだよね〜〜」
の語りに海堂も思わず頷く。
「おっ、珍しく意見があったじゃん。よっし、海堂!!
 コート行こっ!!」
「ああ!?」
「久しぶりに相手してよ。ねっ?」
は海堂の腕を持ち、さらに問いかける。
「わーった・・・だが手加減しねーからな」
海堂はそう言って立ち上がり、教室から出た。
「それはこっちのセリフだって!!」
も海堂を追い、教室を出た。




「ねぇ、海堂!!」
コートに向ってる途中、は海堂に問いかけた。
「なんだ」
「なんでもない!!早く試合しよっ」
は話を流すように言い、部室へ向って走った。





まだ言わないよ・・・・あんたがあたしの気持ちに気づくまではね・・・・
これでも海堂のこと、気に入ってんだからね・・・・
早く、気づいてよ。マムシ君・・・・





初マムシ〜〜〜!!いえ、海堂君!!海堂は書いてて難しいね。手塚より難しいよ・・・
まぁ、それは私情に過ぎないけど・・・
憧れって言ってもヒロインだけかな・・・海堂は初恋って感じですね・・・(滝汗)
こんなヒロインも出てきました!!桃タイプの女の子!!
ヒロイン設定にも書いてありますけど、結構お強いですよ。テニス・・・
もちろん、桃ヒロインもそうですけど・・・
ではでは、次の話も楽しみにしていて下さい。
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著者:瀬川音符

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