1年に1日だけ、嘘がつける日。まさか、こんなことが起こるなんて・・・
ついていい嘘といけない嘘
青学同様、不動峰も3月上旬に卒業式を迎えた。
の双子の妹、ひのきもそうだ。
彼女はいつも橘桔平とつるんでいる。
というより、遊んでいる。
実は、橘はひそかにひのきのことが好きなのだ。
でも彼女はその『好き』の『す』の字もない。
ただ遊び友達としか思ってない。
ところで・・・・彼と彼女の出会いを少しだけ回想してみましょう。
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それは橘が不動峰に転校してきた日だった。
「九州からきました、橘桔平です。よろしくお願いします」
「では・・・の隣に・・・!!手を挙げてやれ」
「へ〜い」
彼女は面倒くさそうに手を挙げた。
「あそこだ」
「はい」
橘は席に着くと、早速彼女に話しかけた。
「よろしくな」
「おう!オレ、ひのき」
「橘だ」
「さっき聞いた」
これがひのきとの出会いだった。
そして橘が新テニス部を作るため、神尾達をつれボイコット中・・・
「おい。転校生の橘ほくろ!!」
彼らが校舎裏でコートを作っていると、声がした。
「か・・・」
「なにしてんだ?」
「テニスのコートを作っているんだ」
「表にあるのにかよ?」
「ああ」
「変なヤツ・・・」
顧問、当時のテニス部の先輩たちとの暴力事件後・・・
「スゲー顔だな」
「ああ」
「お前って結構強いんだな」
「ん?」
「さっきよ、お前同様にボロボロのテニス部員みたぜ。けどよ・・・
お前みたいにピンピンはしてなかったぜ」
「そうか・・・」
「なぁ、それなんだ?」
ひのきは橘の持っている書類に指差した。
「新テニス部の申請書だ。また1からやり直しだけどな・・・」
「だから裏でやってたのか?」
「まぁな・・・」
その後、橘はひのきのことを『』から『ひのき』と呼び名を変え、
今以上に仲良くなった。
これからが橘たちの悲劇の始まりだった。
悲劇その1
「おい、石田!!」
「なんっすか?ひのきさん」
「あんな〜〜〜・・・」
バリッ!!
ひのきは突然、石田の頭に巻いてあるタオルを剥ぎ取った。
「やっぱお前、坊主なんだな」
「返してくださいよ〜〜」
「やだね〜〜〜」
悲劇その2
「ちーっす。ひのきさん」
廊下でたまたま出くわした森と内村。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ひ・ひのきさん?」
「わりー・・・誰だっけ・・・?」
その一言に2人はかなりショックを受ける。
悲劇その3
「おーい、神尾に伊武〜〜!!」
「なんすか、ひのきさん?」
「お前ら、まだ部活始まらないよな?」
「そうですけど・・・何か・・・」
「ふふふ・・・・・」
数分後・・・・
「な・なんだ!?」
コートに現われた橘は2人の姿を見て思わず声をあげる。
「橘・・・似合うだろ・・・こいつら・・・」
ひのきはお腹を押えながら、けらけらと笑っていた。
「またお前か・・・ひのき・・・」
「だってよ〜〜、一度やってみたかったし〜〜」
「それより、2人につけているものはどこから仕入れた?」
「オレも女だぜ。それくらい持ってる。あと・・・・杏ちゃん!!」
そのあと杏と一緒に神尾と伊武のアクセ付けは終わらなかった。
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といった所でしょう・・・・はい、本編に戻りましょう・・・・
橘は一度、手塚に自分が想っている事を話したことがある。(中学生物語内の『程よい甘さ』より)
そして、ひのきの姉もうすうすと橘の気持ちを知っていた。
「でよ、橘〜〜」
「なんだ?」
「もうすぐ高校だな・・・」
「ああ」
只今、ひのきは橘邸で駄弁り中。
「なぁ」
「ん?」
「前に、ちゃんからこんなこと言われたんだけど・・・」
「さんに?」
「うん・・・『ひのきは橘君の事どう思ってるの?』ってさ・・・」
ひのきの言葉に橘は思わず、ブッというように噴出した。
「なに噴出してるんだよ?」
「いや・・・それでひのきはどう答えたんだ?」
さすがにこの言葉にひのきはどう答えたのか気になった。
「あんな〜〜『そうだな・・・・大仏だな!!あれは』って言った」
お決まりの言葉に橘はため息をつく。
「そのあとよ・・・・『あいつ、大仏だけど・・・一緒にいて面白いんだよな・・・
もちろん、神尾たちともそうだけどよ・・・』って言ったら、
『特別な面じゃないの?』って聞かれて、何もいえなかったんだ・・・」
ひのきが珍しく思いつめたように言った。
「そうか・・・」
「オレさ・・・橘のこと好きなのかな?」
「ひ・ひのき・・・」
ひのきの言葉に思わず呆然してしまう橘。
「オレさ、こういうの解らなねーし・・・それによ、
ちゃんみたいに器用じゃない・・・
上手くはいえないけど・・・・オレじゃダメか?」
ひのきが上目遣いで橘を見上げる。
その仕草が異様に女の子を出していたため、思わず顔を赤らめる。
「なぁ・・・橘・・・」
「お・お・俺・・・は・・・・」
何を言ったらいいのか・・・『好きだ』と言ってもいいのか?
いや、ひのきのことだから裏もありそうだ・・・
だが・・・・こんな風に見られるのは・・・
「返事・・・返してくれないか?」
「ひのき・・・・」
よしっ!!言うぞ!!
「俺も・・・・お前のこと好きだぞ」
橘は顔を真っ赤にしながら、そう呟いた。
「恋愛対象としてか?」
「あ・ああ///」
橘の返事を聞いたひのきは、即座に立ち上がり『オレ、帰る』といい
部屋から去っていった。
その日の夜・・・・・
橘の携帯に1通のメールが届いた。
『急に悪いな・・・お前の気持ちはしっかりと解ったぜ。
嬉しかった・・・・・・』
最初の文に橘は思わず顔を歪ます。
だが・・・・・この大いに幅のあるスペースはなんだ?
下に行くと・・・・
『とでもいってほしいか?』
えっ!?
『オレがそんな事思うわけねーよ。バーカ!!
お前、すっかりオレの嘘にはまってるだろ>m<
今日、何の日か考えてみろよ・・・やっぱ堅物大仏だな!!』
今日・・・・・あっ!!
4/1・・・・エイプリールフール・・・・
「あいつ・・・・嘘だったのか・・・」
少し落ち込み気味の橘にもう1通のメールが来た。
見てみると・・・・またひのきだ。
『言い忘れてたぜ。お前がオレのこと好きって言ってたが・・・
冗談!!
だよな!!』
このメールにて橘の心のダメージ無限に喰らってしまった。
その後日、ひのきはに物凄く怒られたらしい・・・・
この話はまた今度・・・・
さぁ、橘よ・・・・君はどうする・・・・・・