暦の上では春・・・だが、風はまだ冷たいこの時期・・・・・
side Ryoga Echizen
青春学園高等部、校門前。見た目高校生の男が1人。
しかも、まだ授業中のこの時間に1人たたずみ・・・・・・オレンジをかぶりついていた。
「ここがチビスケの居る学校・・・の高等部か・・・・」
彼の名は、越前リョーガ。そう、あの越前リョーマの腹違いの兄である。
先日、この日本で育ての親南次郎に出会い、再び越前家で養ってもらうことになった。
この事に、リョーマはムスッとしたが周りの賛成数が高く認めざるを得なかった。
「はぁ、アンタが青学受けるの?他校にしたら・・・」
「何言ってんだ!?兄弟同じ学校が一番楽だろうが・・・」
「だぜ、チビスケ。ヨロシクな」
来月の4月からリョーガは青学の一員になる。
「そーいえば、チビスケがこんなこと言ってたっけ?」
『アンタ、に手出したら、許さないから・・・』
「アイツも一丁前に彼女作りやがって・・・ませてるな〜。って俺も一度だけ逢ってるんだよな・・・・あの4人の女・・・」
桜吹雪に付き添い、八百長試合を今までしてきたリョーガ。
その対戦相手に、自分の弟が居る青学と対戦し負けた。
そして、1人でテニスを続け・・・・ここにきた。
「俺が高校生ね〜・・・まっ、あいつらもいるし・・・ちっとは楽しくなりそうだな」
そう言い、またオレンジにかぶりつき青学を後にしたリョーガであった。
side Ryoma Echizen
4月も終わりに近づいたとき、あいつはまた居なくなった。
「はぁ?あいつ・・・出て行った?」
オヤジからの言葉に、驚かされた。
理由を聞こうとしたが・・・あいつは、「忘れ物がある」と言って出て行ったらしい。
「忘れ物ってなんだよ・・・」
せっかく編入試験パスしたくせに、転入日はめんどくせーってサボるし、
その後もオヤジとずっと寺でテニスして、学校なんて忘れてる状態だった。
あとあと達から、今回転入してきたのは手塚先輩とこに女子1人だけと聞かされた。
なんで・・・・あいつの転入が・・・・
その後、手塚先輩たちに話し聞いても・・・男の転入生はいないと聞かされた。
どうなってるんだよ・・・でも、そんな俺に・・・
「どうしたんだい?そんなに気になる転入生でも入ってくる予定だったのかい?」
「おっチビが気になるヤローって誰だろ〜〜」
と不二先輩と菊丸先輩にからかい口調がオレに飛んできた。
ったくさ・・・アンタ、何処に行ったわけ?
またあんときみたいに、姿現さないつもりかよ・・・リョーガ・・・
side Ryoga Echizen
おっさんとこから出て、世界を歩き続けて・・・・・
ホントは思いもしなかった。育ての親に遭遇しちまうなんて・・・・
久々にあった南次郎さんは俺のことを忘れてはなかった。そして・・・
「家に帰ってこい・・・・」
そう告げてくれた。
最初は時間をくれといい、その場を去ってしまった。
勝手に家を出ていったヤローをまた引き取ろうなんてな・・・
あの人らしいぜ・・・・
俺は戻ることを決意した。そして日本へ・・・・・・・・・
日本に着き、俺は即行越前の家にいった。
南次郎さんはもちろん、倫子さん、それに奈々子さんは俺を迎えてくれた。
が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アイツだけは違ってたんだよな・・・チビスケ・・・
ってかまぁ、あんときよりはでかくなったけどよ・・・
それからというもの、青学の編入試験は軽くパスして・・・
転入までの期間、毎日テニス三昧。
して、南次郎さんには敵わないんだよな・・・
けどよ・・・・あるとき、俺はハッと思い出した。
アメリカに忘れ物をしちまったことを・・・・
「お前、本当に行くのか?」
「ああ・・・必ず帰ってくるから・・・・今度は・・・」
「リョーマには言って行かないの?」
何も言わず俺はまた越前家を去った。
そして今・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以前済んでいたカリフォルニアに滞在している。
ここはあの一家との思いでも詰まってる場所だ・・・
桜吹雪のおっさんの力で借りてた部屋を解約するのをすっかり忘れてた。
そして、あんときチビスケと戦って・・・持ち帰ったあのキャップ・・・
「これで全部だな・・・あばよ!!」
必要な荷物だけ持ち、俺はまたあの家に戻った・・・・
だけどよ・・・日本に戻った早々・・・・
「はぁ?コレ取りにあっちまで行ってたわけ・・・バカじゃないの・・・」
とチビスケにバカにされちまった・・・
さってと・・・・7月から本格的に青学か・・・・俺も高校生か・・・・・
やっぱ、あのじじむさとかいるんだろうな・・・・
まっ、退屈はなさそうだしな・・・・・
春先からWEB拍手のお礼ssとしてUPしていたものを再録しました。