午前の試合が終わり、それぞれ控え室に戻った。
6th Game 〜取り戻すために〜
〜リョーマside〜
ダブルス2で戻ってきた先輩から、昨日の事を知ったオレたち。
「じゃあ、あの後部屋に戻ってから・・・」
不二先輩の言葉に先輩はコクリと頷いた。
「私とは部屋にいたら呼ばれて・・・それでとがあとから来て・・・
それで・・・」
「八百長・・・俺たちにするように言えって言われたんだね・・・」
英二先輩は、宥めるように先輩の頭を撫でていた。
「だが1つ聞きたい・・・何故、は眠ったままだったんだ?」
部長の問いかけに、先輩は震えながら小さく呟いた。
そして真実を知った部長の顔はとても見れるほどじゃなかった。
「シングルス3つでたちを取り戻すしかないね・・・」
「当然だ・・・」
オレもその意見に賛成・・・
「んじゃ、乾〜〜!!肩車して〜〜!!」
窓を開け、英二先輩がデッキに出た。
「ああ・・・」
英二先輩・・・乾先輩の長身使って、上に飛び乗った。
「ちょっと偵察してくるにゃ〜〜〜」
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しっかりと意識を取り戻したにも、椅子から離されたかと思えばあたし達同様両腕を縛られた。
そして、ご丁寧にソファーへと座るように仕向けられ大人しく従った。
桜吹雪さんの目の前にはダブルスで敗れた6人の選手。
「まぁ、やつらが素直に八百長するとは思ってなかったが・・・それにしても全敗とはひどいもんだ・・・
八百長とはいえ、それなりの実力は必要だと、わざわざ高校テニス界でも
そこそこの成績のお前等を雇ったというのに・・・なんてざまだ!!」
苛立つ桜吹雪さんの隣には、コックが包丁を片手に彼等に見せつけるかのようにちらつかせていた。
ってか・・・高校テニス界でそこそこで青学に挑むのもどうかと思うけど・・・;
「あいつ等、本当に中学生なんですか!?信じられない・・・」
当然かのように、1人の選手が問いかけた。
桜吹雪さんは葉巻をギリギリまで近づかせ話した。
「この私の損失も信じられない金額だよ・・・君〜」
そしてコックは負けた選手に負けた分だけ稼ぐまで返さないと言うと、
反発しあう。
その行動に頭に着たのか、コックは1人の選手の首元を上げ怒鳴った。
「黙りやがれ!ガタガタ抜かすとす巻きにして海に放り込むぞ!!」
そんなコックにアイツが帽子を取り、オレンジジュースを頭からかけた。
「やめな・・・偽者コックさんよ・・・」
「何するんだ!!このガキ!!」
偽者コックがアイツに包丁を突き出そうとすると・・・さっと顎ギリギリにラケットを突き出した。
「やめな・・・って言ったんだぜ?俺は・・・」
そしてアイツは・・・次のシングルスで勝てば文句はないだろ?と言うと、桜吹雪さんはそれに了承した。
「なんか、凄いことになったね・・・」()
「ってか首謀はこの2人・・・ね・・・あの選手たちも2人に踊らされてたんだから・・・」()
「だね・・・ってあっ・・・」
2人の言葉に返事を返していると、窓の脇のほうに菊丸君の姿が見えた。
「菊丸君・・・」
「「えっ・・あっ・・・」」
あたしの声に2人が気づき視線を合わすと、菊丸君は頷き去ろうとした瞬間、足音を立ててしまった。
その音に桜吹雪さんたちは聞き逃さず、コックを使い外へと出させた。
「にゃ〜お・・・にゃ〜お・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・;
「いくらなんでも・・・;」
「ネコの鳴き声は・・・;」()
「場所考えてよね・・・菊丸君;」()
あたし達は同時にため息をついてしまった。
〜リョーマside〜
ふ〜ん・・・そういうこと・・・
戻ってきた英二先輩から、あの対戦相手も利用されてたことがわかった。
そして、先輩たちは見過ごすわけにはいかない・・・といった。
俺たちが話してると、ドアが開きあのでっかいコックが包丁を持って現われた。
「不二、手塚、越前・・・出ろ!」
・・・・・・・・・・・・・・そういうこと・・・・
俺たちが試合中に先輩たちをさらに人質にするんだ・・・
そしてシングルス3、不二先輩の試合が始まった。
試合前・・・英二先輩同様、不二先輩も・・・
「この試合・・・僕の愛するを・・・返してもらいます」
宣言し、あのおっさんを頷かせた。
まっ、オレもおんなじことするけどね・・・
でも、時間を稼ぐ為に五分五分で試合を進めていった。
まっ、先輩達の事だから・・・なんとか抜け出すんじゃないの・・・
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〜side〜
桜吹雪さんから解放されたかと思ったら、今度は英二達とともにまた人質になってしまった。
監視としてあのコックが包丁を持って構えている。
ってあれ?なんか気持ち悪そうにしてるんだけど・・・
途端に乾君がバックからボトルを出してきた。
「おい、眼鏡・・・なにしてる?」
「いえ、ちょっと船に酔ってしまって・・・酔い止めを・・・よかったらどうです?」
乾君が出してきたボトルに、大きく【乾】って文字が書いてある・・・
「ウゲッ・・・;」
ボトルの文字を見た瞬間、英二は嫌な声を出した。
「英二?」
「アレ・・・持ってきてたんだ・・・乾;」
そしてあっという間に、コックは倒れ・・・ボトルからは有りえない色をしたドリンクが・・・;
意外にもあっけなく私たちは脱出ができた。
「さっすが乾!!」(大石)
「アレを飲んだら無事じゃすまないっすからね!!」(海堂)
そして走りながら、私たちは向こうの選手救出に向かった。
「俺、手塚部長とこに知らせてきます!」
桃城君だけが単独行動に移り、分かれた。
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『ゲーム!シュバイツ!5−4』
接戦を繰り広げてるけど・・・不二君、いつもとなんか様子が違う・・・
「周助君・・・どうして羆落ししないの?」
は不安そうに不二君を見ている。
「時間稼ぎよ・・・あそこに大石君たちがいない・・・多分・・・たちが・・・」
そういわれ、納得する。
「だけど・・・次取られたら周助君、負けちゃう・・・」
なんともいえない・・・
「・・・・・・・・・周助くんの顔立ち・・・変わった」
ゲームが始まり不二君がロブを上げると、スマッシュを打ち込んできた。
ダイレクトでスマッシュを無効化し後ろに落とす技・・・だっけ?
鮮やかに羆落しが決まり、観客サイドから桃城君のはしゃぐ姿が見えた。
「脱出できたんだ・・・たち・・・」
「じゃ!!ここから周助君の大挽回!!」
嬉しそうにが声をあげると、不二君は1ポイントも譲らず勝利した。
「やった!!」
はしゃぐに、桜吹雪さんは舌打ちをし解くように命令を下した。
縛られた縄を解いてもらい、は即座にコートへと向かって走っていった。
『これより第5試合、桜吹雪テニスチーム、ジャン・ジャック・マルソー対
青春学園、手塚国光の試合を始めます』
司会者の言葉にあたし達は唖然とした。
だって・・・シングルス2はリョーマだって・・・アイツも対戦するのは手塚君だって言ってた・・・
「越前君がシングルス1・・・」
「まさか・・・」
アイツが・・・・ゆっくりと視線を対戦側に降ろすとリョーマを見て笑っていた。
そして、こっちに向けられる視線・・・
「桜吹雪さん・・・この試合、手塚君が勝ったら私を解放してくれませんか?」
の言葉に、桜吹雪さんは睨みつけている。
「どうなんですか?」
「よかろう・・・恐らくシングルス1で残っている彼女も解放しろと言ってくるだろう・・・
今の内に言っておこう・・・残りの試合、青学が勝てば1人ずつ解放してやろう」
その言葉に納得して、手塚君はコートに入りはあたしの隣に戻ってきた。
試合が始まり、手塚君のリードのまま続いていった。
次第に気付く。手塚君、一歩も動いてない。
「手塚ゾーン・・・相手のどんなリターンでも全て自分の周囲に戻ってくるように
回転をかける・・・・・・・・・・手塚君の奥義・・・・もう彼に、なすすべなんてない」
の言葉に、周りはただ黙ってコートを見つめていた。
というより・・・・これは私だけの幻覚なのか・・・・
何故か、手塚君が打つたびに・・・地球崩壊!?いや・・・恐竜達がビックバン受けて・・・・
というおかしな映像が見えてしまう・・・
拉致られて、頭おかしくなっちゃったかな・・・・;
『ゲームアンドマッチ!青春学園、手塚!』
あっという間に6−0で手塚君が勝利を得た。
途端に船員がの縄を解いた。
「・・・」
コクリと頷いて一言告げて、コートへと向かった。
――― 大丈夫だよ・・・ ―――
そうだね・・・大丈夫だよ・・・うん・・・
そして最終戦が始まろうとしている・・・
隣で苛立つ桜吹雪さんは、さっきのシングルス2人にも脅しを始めてしまった。