そういえば、今年は初めてだったな・・・・・ 4月も下旬に入り、俺たちはテニス部にも大分慣れてきた。 そんな頃・・・・ 「ちょっと、桃!!コッチ着て!!」 ランキング戦も終り、レギュラーウェアを纏ったに腕を引張られた。 「なっ、なんだよ!!」 「いいから!!」 に引張られ、俺はなすすべが無かった。 拉致られ、着いた場所は裏庭。 「で、なんだよ・・・こんなとこに連れてきて」 俺が問いかけると、は腕を放し俺と向き合った。 「桃・・・4/29・・・何の日か知ってる?」 4/29・・・・祝日だよな・・・確か・・・部活も休みだし・・・ 「ねぇ、どうなの!?」 考え込む俺に、は問い詰めてくる。 「祝日だろ・・・何かあんのかよ?・・部活は休みだしよ・・・」 俺の答えに、はため息を着いた。 「アンタ・・・彼女の誕生日くらい覚えててあげなよ・・・今月の29日。の誕生日だよ・・・」 なっ、何〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!! 「やっぱ知らなかったか・・・、ああだから絶対桃に教えてないって思ってね・・・」 「サンキュ・・・」 の前から去って・・・・ 「誕生日か・・・ってやべ!!プレゼント、用意しないと!!」 俺は急いで部室に戻り、財布の中を覗いた。 まぁ、なんとかあることで安心して俺は部活に戻った。 けどよ・・・・内緒で出た事ばれて・・・グラウンド20周喰らってしまった。 走り終えたとき、後ろからガバッと抱きつかれた。 「よっ、桃!!レギュラーなれたからって、サボるにゃんてね〜〜」 「英二先輩・・あれはが勝ってに・・」 「のせいにするんだ〜〜。桃も大人げにゃいな〜〜」 「悪かったっすね!!ってそうだ・・・」 俺は英二先輩に、相談してみた。 「ほえ?誕生日プレゼント・・・はは〜ん。にあげるんだ〜〜」 「そうっすよ・・・ってか俺も今さっき知ったばっかでしたけど・・・で、いい案ないッスか?」 「う〜ん・・・・そんにゃの桃が一番知ってると思ってたのににゃ〜」 英二先輩の言葉に、俺は黙ってしまった。 そんなこんなで部活が終り、俺はに先に帰ると告げ学校を後にした。 チャリを漕いで、俺は街へと出た。 「にしても、なにあげたらいいんだ・・・やっぱテニス用品か?」 いつも行くスポーツショップに入り見て行くが・・・ 「どれにしたらいいんだよ・・・」 諦めて店を出ると、空は夕焼け色。 「参ったぜ・・・こうなるんならから情報貰っておくんだった・・・」 チャリを押しながら、街中歩いたけどコレといっていいものがみつからね・・・ 考えながら歩いていると、いつの間にか路地裏に入っていた。 「そーいえば、こんなとこ入ったことねーな」 ゆっくりと歩いて行くと1つの店を見つけた。 「こんちはーーー」 その店には、テーブルにキレイに飾ってあるアクセが並んであった。 声を掛けても、誰も出てこない・・・ 「アクセか・・・そーいえば・・・」 俺はホワイトデーの時、マムシとが居たけどデートした。 お返しを渡したときのの顔、可愛かったよな〜〜・・・ って惚気てる場合じゃねー。 その後、ストリートアクセでとの話。 「、アクセ好きだよね〜」 「あまりつけないけど・・・こういうカワイイの好きだもん。はシルバー羽のでしょ?」 これしかねー!!けど・・・かなりの種類があってどれが良いか・・・ にだもんな・・・変なの選んで嫌われるものイヤだしな・・・ 「おや、彼女にかい?」 店の奥から、おじいさんが話し掛けてきた。 「えっ、まあ・・・」 「そうじゃの・・・このクローバーのチョーカーなんでどうかの?」 おじいさんの手に出されたのは、シルバーで作られた四葉のクローバー。 ワンポイントでシンプル・・・ 「おじいさん。コレ、ください!!」 金を払い、ラッピングしてもらった。 コレでプレゼントは大丈夫だな。あとは・・・ 携帯を取り出し、にメールを打った。 29日、暇か?と・・・・ 数分後、俺の携帯がなった。 メールかと思い出してみると、ウィンドウには『』と出ていた。 「電話できたか・・・はい」 出るといきなりのメールはなんだ?と即座に問い詰められた。 「だからメールでも書いてただろ。その日暇か?ってよ」 『んなの知ってるわよ!だから、なんでって聞いてるの!!』 「それは当日の楽しみにしてくれよ・・・まっ、テニスも兼ねてだけどよ」 『なんか・・・引っ掛かるけど・・・いいよ!!だったら・・・』 朝10時に、の家に来るように言われた。 「ってもう、お呼ばれか・・・」 何か嬉しくて・・・そのままベッドに倒れ込んで眠った。 そして、29日。 プレゼントとラケットバックを持ち、俺はの家へとチャリで向かった。 にしても、オレん家からん家って遠いんだよな・・・ の場合だとそうじゃねーんだけど・・・ 約45分かけて、住所をたどり近くまでたどり着いた。 「ここら辺だよな・・・住所からして・・・」 周りを見渡してると、近くからボールの音がした。 チャリを漕いでそこに行くと、小さなテニスクラブにたどり着いた。 『テニスクラブ』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ マジ!?ここかよ!! だからの奴、強いのか・・・ 「ねぇ、そんなとこで何やってんの?」 「っ!!・・・」 「なに?早くコッチに着てよ!!チャリ置いて・・・」 「あっ、ああ・・・」 駐輪所にチャリを置き、俺はの背中を追った。 暫く居っていると、目の前にコートが6面。 それも誰もコートには居ない。 「誰もいないのか?」 「今日、休館日だから・・・好きにコート使えるから、ここでいいでしょ?」 「ああ」 それから暫く、ラリーがてらアップを行い、久々に試合をした。 時間は経ち、昼前になると俺たちの前に女の人が現われた。 「。お昼どーすんの?」 その人はベンチからに話し掛けてきた。 「う〜ん・・・食堂行くからいい!!ありがと、はづき姉さん」 「どういたしまして・・・」 に、姉さんなんていたのかよ・・・ はづきさんは俺を軽く観て、去っていった。 「桃城、お昼にしよ!!」 「あっ、あ・・・なぁ、さっきの・・・・」 「はづき姉さんがなに?」 「いや、別に・・・なんでもねーよ」 驚いたぜ・・・に姉が居たなんてよ・・・ 建物の中に入り、小さな食堂に入った。 簡単に定食を頼み、俺たちは窓際の席に座った。 「でも、の家がテニスクラブだったとはな〜」 「別に話しても、何もないでしょ・・・まぁ、と海堂は知ってたけど・・・」 「ちょっと待て・・・なんでマムシが知ってんだよ!!」 「だって、この前・・・2人がここに練習に来てたもん」 なんだよ・・・そういうことかよ・・・ 一瞬ひやひやしたぜ・・・ 「そんで・・・」 飯を食いながら、が話し始めた。 「なんで今日だったの?」 とうとう本題を問いかけてきた。 「ああ・・・お前、今日何の日か・・・知ってるよな〜?」 「今日?」 は、う〜んと考え出す。 おいおい、まさか・・・・・・・・・・・ 答えを探すように、う〜んと唸っている。 「・・・?」 「何だっけ?」 逆に問いかけてきた瞬間、ズッコケルかと思った。 「お前は・・・・」 俺が答えを言おうとすると・・・ 「今日はの誕生日でしょ!!全くアンタって子は・・・」 とはづきさんが答えを言ってしまった。 「ああ〜・・・そーいえば・・・」 答えを聞いて、納得する。 「彼氏君・・・桃城君って言ったけ?君もこんな鈍感娘と良くやれるね〜〜〜」 「あっ、いや・・・」 「はづき姉さんに言われたくない・・・彼氏も居ないのに」 「痛いところ突くわね・・・じゃ、ごゆっくり〜〜」 胸を抑えながら、はづきさんは苦笑いしながら俺たちの前から去っていった。 「でも、私の誕生日・・・知らなかったんでしょ?」 「まぁな・・・情報源は何処からか・・・おおよそ知ってんだろ・・・」 「ね・・・余計なことしなくて良かったのに・・・」 「そういうなって・・・で、コレ。やるよ・・・」 俺は先日買ったアクセをに渡した。 「えっ・・・」 俺からのプレゼントには唖然とした顔を見せた。 「誕生日プレゼントだぜ。開けてみろよ・・・」 コクッと頷いてリボンを解いて行く。 「コレ・・・・」 クローバーのチョーカーを手にし、の目が潤んでいた。 「いいデザインだろ・・・シンプルだしよ。好きだろ・・・アクセ」 俺がニカッと笑うと、下に俯き・・・・ 小声で俺の名前を初めて呼んでくれた。しかも顔を赤く染めて・・・ ったく、カワイイことしてくれるぜ・・・ 「おう・・・そろそろコートに戻ろうぜ」 「あっ、うん・・・・」 その後、テニス三昧だったが楽しかった。 の喜ぶ姿が見れたしな・・・ 「何にやけてるの?スコア、どうなってるのか解ってる?」 はぁ!?・・・・ってげ!!!俺、今・・・ラブゲームで負けてる!! 負けてらんねーーー・・・ あとがき。 著者:瀬川音符 ![]() |