2日目の昼休み・・・・・・・・・




4話 本当の気持ち





昼食を取り終えたは、ある部屋の前にいた。

コンコンッ・・・・
ドアをノックすると、「どうぞ」と返事が帰って来た。
「失礼します」
ガラガラと音を立てながら、は1つの部屋に入った。

「何かしら?」
そこにいたのはコーチを担当している竜崎先生、華村先生、榊先生がいた。
そう、この部屋はコーチ専用の会議室。
「ミクスドのパートナーを決めましたので・・・・」
「そう。それで誰にしたのかしら?」
華村先生がそう言いながら、立ち上がった。
「同じ班の手塚君です」
がそういうと、竜崎先生は納得した顔をしながら、
「なるほどね〜〜〜。手塚なら問題ないじゃろう」
という。
「解りました。あとはさんとさんね・・・さんからは報告受けたから・・・」
「そのさんのことなんですけど・・・・・」

の発言に、さすがのコーチ陣も唖然した。

「なので午後の練習の後、彼らをお借りできないでしょうか?」
それから3人は話し合い、了解を得た。






時間は過ぎていく。
午後は各班、それぞれトレーニングや練習試合を行った。
練習は終わり、真田を除いて選抜候補生全員がコートに揃った。

「それじゃ、さん。あとは貴方に任せるわ」
華村先生はそういうと、コートから去っていった。
先生がいなくなると、即座に・・・・・・・

「おい、。俺様たちを呼び出してなんだ?」
跡部がつかさず問いかけてきた。
「さすが、跡部君。すぐ聞いてくるなんて・・・」
は跡部を見ながら言いながら、話を続けた。
「ここに呼び出したのは他でもないわ。今回の選抜にミクスドも加わることになったの。
 このなかの何名かは知っていると思うけど・・・私たち女子はこの30名の男子から
 パートナーを選ばなければいけないの。それでコーチに頼んで集まってもらったの」
の解説に納得する面々もいれば・・・・

「ほな、チャンスがあればちゃんとペア組めるちゅうことやね?」
と質問するもの・・・・・・

「今度はミクスド・・・・」
とぼやくものがいた。


「そういうこと。ミクスドで選抜に選ばれたくない人は参加しなくて良い。
 私たちは強制はしないから。そういう人はもう戻ってもいい」
そういうと、木更津兄弟、天根、梶本、神城、若人、伊武、神尾、宍戸、鳳の計10人がコートから出た。

「なんや、跡部。やるんかいな?」(忍足)
「ああ。こんなチャンス、めったにねーからな・・・なぁ、樺地?」(跡部)
「ウスッ」(樺地)

「あれ、佐伯も参加するの?」(不二周)
「まぁね、女子のお願いをフリーに出来ないからね」(佐伯)
「相変わらずキザだにゃ〜」(菊丸)
「それで観月はどうしてだ?」(乾)
「んふっ。彼女たちのデータも僕の手にしていたいですからね」(観月)
「裕太君は?」(大石)
「俺は・・・・・やってみたいんです。ミクスド・・・」(不二裕)
「俺も同じだ」(橘)
「俺は女の子とやれれば何でもOKだし〜☆」(千石)

「ふふふ・・・やっぱり柳と赤也は残ったんだね」(幸村)
「当然だ。が困っているのだからな」(柳)
「それにミクスド組めるってめったにないっすからね〜」(切原)


「おい、マムシ。お前と組むんだろ?何で残ったんだ?」(桃城)
「うるせー。てめーこそと組むんじゃねーのか・・・」(海堂)
「どうせ桃先輩のことだから、まだなんでしょ?」(越前)
「越前・・・・って先輩。手塚先輩いないっすよ」
桃城にそういわれると、は周りを見渡した。

「本当・・・何処行ったのかしら・・・」()
「手塚先輩なら、さっきコートを出ましたよ」(
「何処行ったんでしょうね・・・まぁ、手塚先輩は3日目の練習に参加するのは
 確実ですし・・・・・・」()
「早くやらないと、時間だけが経っちゃうわ」()
「そうね・・・・それじゃ、私たちはさっき話したとおりに・・・・」
の言葉に、3人はコクリと頷きコートのそれぞれベースラインについた。

「じゃあ跡部君たちは、適当に4組に分かれて私たちの横について」
がそういうと、彼らはぞろぞろと移動し始めた。
当然・・・・・・・

「俺様が一番だ。いいよな」
ちゃっかりとの隣に居座った跡部。
「ほな、俺は次や」
「ウスッ」
跡部に続き、忍足と樺地ものいるコートに来た。
「俺もこっちに来させてもらった」
そして橘に、
「いいデータが取れそうだ」
ノートを準備した乾。



「俺が先っスよ。柳先輩」
「いや、赤也。先輩を先に譲るものだ」
の隣を争う切原と柳。
「まぁまぁ、2人とも落ち着きなよ。ちゃんとやれるんだから」
宥める幸村に・・・
「俺、こっちに来れてラッキー↑」
もう鼻の下が伸び切っている千石。



「んじゃ、先輩。よろしくっす」
何故かのところに来た越前。
「よろしく頼むぜ。
久々の再開に声を上げる裕太。
「このミクスド・・・ん〜、楽しみです」
ふふふと言いながら、腕を組んでいる観月。
「ふしゅ〜〜〜」
と息を吐いている海堂。




「よろしく、さん」
にっこりと微笑み笑顔の不二。
「ミクスドも面白そうだね・・・」
同じく微笑んでいる佐伯。
「にゃんか、楽しそうだね〜〜」
とおき楽の菊丸に、
「真面目にやれよ、英二」
注意する大石。
「チェッ、俺が最後か・・・・」
不貞腐れる桃城・・・・・





「セルフジャッジのミニゲームで3ゲーム先取したら終了。
 タイブレークは無し。
 男子は終了後、ローテーションでそれぞれのコートに移ってね。
 それじゃ、ミクスド開始!!」
が号令を出すと、1組目の試合が始まった。


男子が前衛、女子が後衛に着き試合が進んで行く。
あるものはダブルスの経験があり、彼女達を引張っていく。
あるものはシングルス同様、好き勝手に動いていく


・・・・とのように、それぞれの試合は見所満載だった。



もともとミクスド=ミックスダブルスは男子が守備に着き、女子が攻撃するのが基本。
だが・・・・・・


「ちょっと、越前。ミクスドの基本知ってんの?」
「知らないッス・・・」
越前は、去年の桃城とのダブルスみたいに範囲が広くの邪魔ばかりしていた。


「跡部君・・・ちなみにダブルスの経験・・・」
「俺様はシングルスばっかだったが、ダブルスもできるんだぜ」
と言いながらも、勝手に跡部が主導権を握っておりが動けない状態。
「それって・・・・(出来ないってことじゃない)」


とまぁ、協調性の無い面々もいて荒れるところもあった。




その頃・・・・・・

「真田・・・」
「手塚か・・・」
コートから去った手塚は、ミクスド練習に呼ばれなかった真田のもとに行っていた。
「話がある・・・」
手塚の目をみた真田は、「いいだろう」といい2人である場所に移動した。

「話とはなんだ」
外に出たら、真田が手塚に問いかけた。
「いいから、着いて来い」
振り向き、そういうとまた歩き出した。
歩きながら、手塚は真田に話し掛け始めた。

「真田・・・お前、の頼みを断ったらしいな・・・」
から聞いたのか?」
「ああ・・・・俺も、とミクスドのパートナーを組んだからな」
とか・・・」
「ああ。断った理由も聞いた・・・・」
「なら話は終わりだな」
真田は立ち止まり、方向を変えた。
「いや、まだ終ってはいない」
方向を変える真田を引きとめる手塚。
「なんだ?」
「お前、幸村にこういったそうだな・・・・」



『あいつは俺を頼りにしていることは承知だ。だが、それが裏目にでることもある。
 だから拒否をした』



手塚の言葉に、2人の間に沈黙が流れた。

「ああ。そう言った・・・だがお前には関係の無い話だ」
そういい、真田は宿舎に向って歩き出す。
「お前は、に頼られたくは無いのか?」
「なんだと・・・」
手塚の放った言葉に、真田は立ち止まり手塚と向き合った。
「それはどういうことだ、手塚!?」
「男して、頼られるのは当然のことだ」
「だがあいつは・・・」
「なんだ?」
真田は何かを言いかけるが、口ごもってしまう。

「お前は・・・・・」
「ん?」
「お前はどうなんだ。に頼られたいのか?」
今度は真田が手塚に問いかけた。
「ああ。はなんでも自分で解決するくせがあってな。
 おまけに隠すこともある。
 一度は思った。俺は頼りにされてないのかと・・・・・
 いや、頼りにしてもらいと思った」
「ほう・・・」
「これは誰でも思うことだ。お前は違うのか・・・?」
「俺は・・・・・いや、あいつは俺を頼りにしている。それは解る」
「ならそれで良いじゃないか・・?」
「だがその反面、プレイに損傷が出てしまっては何の意味も無い」
「それでは、お前とはお互いに信頼し切ってはいないのだな?」
「なんだと!?」
手塚の発言に真田が声をあげる。

「お前の発言はそういっているようなものだ。
 練習試合の後、をかけて試合をしたそうだな・・・
 経由でスコアを見せてもらった。全部0ゲーム。
 これはを守りたくやったことではなかったのか?」
そう言われ、真田は黙り込んだ。

「よく考えることだな・・・もう一度・・・
 あと、コートに行ってみろ・・いいものが見れるかもしれん」
手塚はそう言い、真田から去って行った。





「手塚・・・・・」
手塚の背中を見ながら呟き、真田はコートに歩き始めた。
真田がコートにつくと、最後のミニゲームが始まっていた。
・・・・」
Aコートで乾&VS桃城&が試合をしていた。

試合で彼女の姿を見て、真田はフェンスに手をかけた。
「お前・・・・」
真剣な眼差しで彼女を見る。
「俺は・・・・」
そう呟きながら、下に俯く。

「そのボール入らない・・・」
乾のデータが正確に当たり、アウトする。
「これで終わり!!」
がサーブを放つ。
そしてラリーが続く。
「行くっすよ!!」
桃城がジャックナイフを放つと、のラケットははじかれた。
「っ!!」

!!」
真田は思わず声をあげた。
その声に反応し、は後ろを振り向いた。
「弦一郎君・・・」
は弾かれたラケットを手にし、コートに戻った。
そして・・・・・・試合は全て終了した。



「終わった〜〜〜〜」()
「さすがに18試合はきついですよ・・・楽しかったけど・・・」(
「もうダメ・・・・」(
「私も・・・・」()
立て続けに18試合もした彼女達はその場に座り込んだ。


真田は意を決したのか、コートに入ってきた。
そして・・・・
「蓮司、ラケットを貸してくれ」
柳に頭を下げた。
「弦一郎・・・・使ってくれ」
柳は真田にラケットを渡す。
ラケットを受け取った真田は、座り込んでいるに向って歩いていく。
その姿を見届けた手塚は、自分のラケットを手にし、コートに入る。

・・・・」
「弦一郎君・・・」
息があがりながらも、は真田の名前を呼ぶ。
「俺とミクスドの練習をしないか?」
その言葉に周りは騒ぎ出す。
「でっ、でも・・・・・もう限界で・・・・」
「俺がフォローする。お前は・・・・・・俺に頼ればいい」
真田は途切れ途切れにそういい、
、相手してくれ・・・」
に勝負を挑んできた。
「えぇ!?勘弁し・・・・『いいだろう』
が断ろうとすると、横には手塚が立っていた。
「国光!!何処に行ってたの?」
「ちょっとな・・・」
「ちょっとって・・・それより私も限界なんだけど・・・」
「フォローする。それが男子の役目だ」
そう言い、を立ち上がらせる。
「明日、動けなくなったら恨むわよ?」
「好きにしろ・・・そんな事言ってもお前はそうはしないだろう?」
「うッ・・・」
はため息を着き、ラケットを持つとコートに入った。


「俺とは出来ないのか?」
真田もの目線にあわせ、問いかける。
「だって・・シングルス・・・」
「俺は確かにシングルスで選抜に選ばれるつもりだ。だが・・・・」
「なに?」
「ミッ、ミクスド・・・・もいい・・・・と思った・・・・それだけだ」
そう言い、を腕を引き立ち上がらせた。
「弦一郎君・・・」
はラケットを握り、「行こう」と真田に微笑んだ。


「誰でも良い、ジャッジしてくれないか?」
真田がそういうと、
「俺様がやってやるよ・・・ミニゲームでいいよな?」
「十分だ」
跡部が審判台にのぼり、
「それじゃ、始めるぜ・・・・3ゲームマッチ、トゥサーブ!!」
コールが鳴り響き、19試合目が始まった。

「それじゃ、残ってる力全部出すわよ・・・」
は2・3度ボールをつき、高く上げる。
そして相手コートにボールを叩き込んだ。
ボールはトップスピンがかかり、に跳ね上がった。
「悪いけど、ツイストサーブはもう克服してるのよ」
そう言い、顔面に向ってくる玉を返した。
「なら、これならどうだ・・・」
手塚はすぐポーチに出て、ドロップショットを放つ。

「15−0」


「あの試合からまた強くなったのね・・・負けてられないね・・・」
「ああ。やってみるか?」
「ええ」

手塚とはセンターギリギリに立ち、構える。


「にゃっ!?」(菊丸)
「あのフォーメーションは・・・」(不二)

そういっているうちに、はコーナーギリギリにサーブを放った。
真田はいとも簡単にリターンするが、そこには手塚が待っていた。
「なに!?」
「残念だったな・・・」
2人の間をボールが貫く。

「30−0」


「オーストラリアンフォーメーションだ・・・」(乾)
「手塚とさん。いつの間に・・・」(大石)
「すげーな、すげーよ」(桃城)
「ふしゅ〜〜〜」(海堂)



フォーメーションで主導権を握った手塚&はそれから1ゲームを先取した。
第2ゲーム目、彼女たちの疲れが見え始め彼らがフォローするにも仕切れない所が出だした。
そして

「ゲーム真田&ペア 1−1」
両者、同点になった。
第3ゲーム目でも手塚ペアはフォーメーションを繰り出し、ポイントを取っていくが、
真田ペアも喰いついてくる。
そして彼女たちの息もあがっていく。





時間は経ち・・・・

「ゲームセット。ウォンバイ手塚&ペア 3−1」
試合は手塚ペアの優勢で幕を閉じた。

「「もうダメ・・・・」」
とうとう彼女達は息を上げ、座り込んだ。
それとともに手塚と真田が駆け寄る。
「立てるか?」
問いかけるが2人は、首を横に振る。
手塚と真田は同時に彼女を抱き上げ、コートから去った。
その姿に、ウブなお方たちは唖然。
というより、あの手塚と真田があんなふうに行動すると予測できなかったものも唖然していた。



「桃城・・・」
手塚たちが去った後、は桃城に声をかけた。
「なんだよ?」
「ミクスドなんだけどさ・・・組んでくれる?」
「本気か?」
「嘘なんていわないわよ・・・さっきの試合で一番桃城とやりやすかったの。それだけよ・・・」
そう言い、のところへ行ってしまった。
「よっしゃ〜〜〜!!」
桃城は声を上げ、ガッツポーズをした。
その後、は華村先生に桃城とミクスドを組むことを報告したのであった。






さてさて・・・・2カップルは・・・・
疲れきった彼女達を部屋まで連れて入った。

「国光・・・・」
は手塚の耳元で話をし・・・・・
「解った。真田・・・」
手塚は真田に話し掛ける。
「なんだ?」
「俺とは退出する」
そういい、を抱き上げたまま部屋を去ろうとすると、
「すまない」
真田は2人に頭を下げる。
そのまま2人は部屋から出て行った。



・・・・俺は・・・・・」
真田は、をゆっくりとベッドに降ろし話始めた。
「お前に酷いことを言ってしまった。すまない」
に頭を下げ、謝る真田に、
「ううん。私がちゃんと解ってなかったから・・・・・」
「いや、解っていなかったのは俺だ。俺が悪いんだ・・・・・・」
「弦一郎君・・・・」


その頃・・・・・
「部屋を出たのは良いけど、私たちはどうする?」
抱き上げられたままのは、手塚に話し掛けていた。
「俺の部屋に行こう・・・」
そう言い、手塚の脚はドンドン前に進んで行く。
「でも同室・・・・」
「俺は1人部屋だ」
「そうなの?」
「ああ・・・竜崎班の男子が割り切れなくてな・・・」
「そっか・・・でも他の班の男子と同室かと思ってたのに・・・・」
「さすがに、違う班同士、一緒には出来ないんだろう」




さて、戻って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「俺はシングルスにこだわり過ぎていた。いつも1人で闘っていたものだったからな。
 という存在が、俺の闘志に水をさしてしまうんじゃないかと思ってしまった。
 だが、今日のお前の姿を見て考えが変わった。
 俺から言うのもなんだが・・・、俺とミクスドを組んでくれ」
真田は今までの思いを全て打ち明け、に手を差し伸べた。
その姿には唖然としてしまう。
だが、にも真田の思い、そして一緒にプレーした感触が溢れてくる。


「私ね・・・・今日、18試合もミクスドして・・・・わかったの。
 今日組んでくれた皆には悪いけど、やりにくかった・・・。全然合わないし・・
 やっぱり私は弦一郎君とやりたい。こちらこそよろしくお願いします」
は真田の手をしっかりと握り締めた。


「ありがとう。練習は明日だったな?」
「ええ。華村先生に報告しなきゃ・・・」
そういい、立ち上がるが疲れ切っているためにその場をふらついてしまう。
即座に真田が支え、
「無理をするな、俺が行って来る。今日はゆっくりと休め」
そういうと、真田は部屋から去っていった。





それから真田は、華村先生に報告をし手塚とに頭を下げる姿があった。





そして3日目を迎える・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あとがき。
真田の気持ちを書きました。ただの勘違いです。しかも、手塚が・・・手塚が・・・
真田に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ww
はい、兎に角次は合同練習ですよ。3日目。
楽しみにしていて下さいね。

著者:瀬川音符

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