私とミクスドのペアを組んでくれませんか・・・・・・・・




2話 ミクスド・ペア





1日目の夕食も終え、人気の無い場所でその話は始まっていた。

「悪いが、俺は組めない・・・」
彼はそう言い、彼女の前から去って行った。
彼女は彼から思いがけない言葉に、そのまま座り込み声を出さず泣いた。





その頃・・・・・・・・・・・・・・・

「か〜いどう!!」
は早速海堂を見つけ、声をかけた。
だが、海堂は明らかに無視。
「もう、無視しないでよね!!話があるんだから!!」
がそう言いきると、海堂は彼女と向き合った。
「なんだ?」
「あのね、ジュニア選抜でもあたしとミクスド組んでほしいの!!」
そう言い、海堂に頭を下げた。
「どういうことだ・・・お前とは班も違う・・・」
「うん。解ってる!!でも華村先生は他の班の男子でも良いって言ってくれたから・・・・
 あたしは、海堂と組みたい!!ねっ、いいでしょ?」
の言葉とともに海堂は立ち上がり、「解った・・・」といって部屋へと戻っていく。
も海堂を追いかけ、「ありがと」と言った。

「海堂、3日目は合同練習だから必ず来てね。あたし、華村先生に海堂と組むって言うから」
「ああ・・・・・・」








「ところで、昼間の話とはなんだ?」
竜崎班がくつろいでいる広間で手塚がに問いかけた。
その言葉に、全員の視線が2人に向けられる。
「うん・・・国光、単刀直入に言うわ。私とミクスドを組んでもらえないかな?」
「ミクスド?」
「今回、ミクスドも選抜に入るの。さんたちも誰かと組むと思う。
 まだ誰がミクスドとして選ばれるかもわからない。調整ってところで、
 それぞれペアを組んで、練習することになったの」
の説明で、桃城が話しに入ってきた。

先輩!!それってたちもなんすよね?」
「そうよ・・・さんも探してるんじゃないのかしら・・・」
の言葉に、桃城は広間から駆け出て行った。

「桃先輩も、まだまだだね・・・拒否されることも考え無いなんてさ・・・」(越前)
「そこが桃って感じじゃにゃい?」(菊丸)
「そうだな・・・さん、どうして手塚を選んだい?」(大石)
大石の問いかけに、はにっこりと微笑んだ。

「確かに、ダブルスに慣れてる菊丸君、大石君でもいいと思ったけど・・・
 やっぱり心から信頼している国光が一番いいと思ったから」
この言葉に、納得する面々。
「解った。受けてたとう・・・練習はいつだ?」
「3日目の午後。女子の合同練習のとき」
「そうか・・・・・・」

そう話していると、広間にが現われに抱きついた。

さん!?」
が問いかけても、無反応。
そんな彼女に、彼らも吃驚していた。





さぁ、のところに駆けていった桃城は・・・・・
「あいつ、何処いるんだよ・・・?」
華村班がいる広場に行っても、の姿が見当たらなかった。
同じ班のに聞いたが、知らないと言われ・・・・・
廊下を歩いていると、外からボールの音が・・・・・・

「こんな時間に自主練かよ・・・誰だ?」
木陰から覗いて見ると、ライトアップされた壁打ち場でが自主練していた。
かよ・・・相変わらず、努力家だよな・・・」
そういっていると・・・
「誰かいるの?」
が人の気配を感じ、問いかけてきた。
「チェッ、もうばれたか・・・」
桃城は木陰から出て、の前に出た。
「桃城・・・なに?」
「え〜っと・・・そのさ・・・」
「なに!?私、忙しいんだけど・・・」
そういい、散らばっているボールを片付けていく。
先輩から聞いたんだけどよ・・・、もうペア決めたのか?」
桃城の言葉に、は手を止めた。
「そんなに知りたい?」
「ああ・・・これでも地区大会からペアを組んだ仲だからな・・・」
はため息を1つ吐き、桃城を見た。
「そっ・・・・じゃ、教えてあげる。まだ、決めてない。
 明日、華村班の男子とそれぞれやってみようと思うの・・・
 それで、上手くいかなかったら・・・・桃城、あんたに頼んでも良い?」
意外な言葉に、桃城は口をあんぐりさせている。
「何?嫌なわけ?」
「そ・そんなんじゃねーよ!!一応、隣開けておくぜ」
「まっ、それも時間の問題だったりしてね」
「お前・・・・もう遅いんだし、終わりにしろよ」
「解ってる・・・・・」




さてさて、ちょっと戻って・・・・・・

竜崎班に戻ってきたは、に抱きついた。
さん!?どうしたの・・・」
が再度問いかけるが、何も答えなかった。

「一体どうしたんっすか、先輩?」(切原)
「おいおい、今年も問題発生か?」(宍戸)
「宍戸さん!!何もそういわなくても・・・」(鳳)
「そうだぜ、なにも問題ってことにしなくても・・・」(神尾)
「でも、彼女が話さなければ何もなりませんね・・・」(梶本)
「んだね。ねぇ〜ちゃん、一体何があったの?」(千石)
千石がいきなりを名前で呼んだことに、切原はムカッとする。

抱きついているは、の耳元で・・・・

「真田君が・・・・」
そう呟くと、は何かを察し

「梶本君、宍戸君、鳳君、神尾君、千石君。出てくれる?
 ここからは君たちが立ち入れないところだから・・・悪いんだけど・・・」
の言葉に、5人は素直に部屋へと戻っていった。
「切原君は榊班の柳君、華村班の精市・・・幸村君を連れてきて」
「了解っす」

「越前君は、さんとさんを連れてきて。多分、桃城君も一緒だと思うから・・・」
「海堂先輩もッスか?」
「いたらで良いから・・・」
「ウィーッス」
越前も広場から去っていく。


「菊丸君と大石君は、なんとか達に連絡とって!!」
「了解だにゃ」
「解った」
菊丸と大石は携帯を取り出し、彼女たちに連絡を取り始める。

数分後、切原は幸村と柳を。越前は桃城、、海堂、を。
連絡を受けた達6人も合流した。


「どうしたの、・・・って何やってるの?」()
「しかも抱きついているの、さんじゃない!!」()
「どないしたん?」()
の言葉に続き、
さん。真田君と何があったの?」
が引き剥がし、問いかけた。

ちゃん、真田と喧嘩でもしたのかい?」(幸村)
幸村の言葉にの顔は暗くなる。
「一体真田さん、先輩に何したんですかね?」(切原)
「だが、が悲しんでいるのは事実だ。弦一郎・・・」(柳)
柳たちがそう話していると、は呟くようにこういった。


『真田君、ミクスド組んでくれないって・・・』
そういい、涙を流した。
「真田がそういったのか?」(手塚)
手塚の質問に、は頷いた。
「どういうことなのか、はっきり教えてくれる?」
「うん・・・・・・」
は夕食後の話をし始めた。



「弦一郎君」
丁度廊下を歩いている真田を見つけ、は声をかけた。
か・・・どうした?」
「あの・・・・合宿3日目に女子合同練習があって・・・・ミクスドのパートナーを
 見つけなきゃいけないの。だから・・・・・・」
の途切れ途切れの言葉に、真田も何を言おうとしているのか解る。
「私と・・・ミクスドのペアを組んでもらえませんか?」
そういうと、真田に頭を下げた。
、お前の気持ちは解る。だが・・・・・・・・・・・・」
次の言葉に、はかなりのショックを受けてしまう。





『俺はシングルスで選抜を狙っている。お前も知っているだろう。
 悪いが、俺は組めない・・・・・・・』






「なにそれ!?酷い!!」()
「いくらなんでも酷すぎます」()
の話を聞いて、激怒する彼女達。
「いくらシングルスで狙っているからって・・・・」()
「真田さんがそんな人だなんて思いもしなかった・・・」(
「サイテー・・・・」()
「真田さんらしいって言えば、らしいよな・・・」(桃城)
「そうだな・・・彼は去年もシングルスで出場したからな」(大石)
「そだったね・・・」(菊丸)


先輩。真田さんがダメなら俺とやってみましょうよ」
切原がミクスドを組まないかと、声をかけ始めた。
「班は別でも構わないなら、俺でも良いぞ。
柳も慰めがてら、組もうと誘う。

「まぁ、柳も赤也も・・・ちゃん、疲れてるようだからもう部屋に戻そう。
 その話は明日に・・・」
幸村の言葉に
「そうね・・・私たちも明日から本格的な練習も始まるし・・・
 今日は解散しましょ」
もそう言った。
それから女性人だけ、の部屋に集まっていた。


「ねぇ、さん。もう1つ聞いても良い?」
「なに?」
「あの練習試合の後・・・どうなったの?」
そう、あの練習試合の後彼らはを巡って戦いを繰り広げたはず・・・・・・

「それは俺が話すよ・・・」
ドアを開け、幸村が話し出した。
「精市君・・・いつの間に・・・」
「それはおいといて・・・・あの後、ブン太たちは本当にちゃんをかけて、
 真田と試合したよ。で、これがそのときのスコア表」
幸村はある1枚のプリントをに渡した。
「え〜っと・・・・・・・・・・・・・・」
が見ると・・・・・





どれも全て0ゲームで終っていた。







「全部0ゲーム・・・」
「真田なりにちゃんを渡したくなかったんだろうね。
 あのときの真田は、練習試合よりも真剣だったから」
そういい、クスリっと微笑んだ。
「そう・・・でもなんで・・・・」
「俺も明日、それなりに真田に聞いてみるよ。ちゃん、気を落とすのは解るけど、
 ここは合宿場だよ。それだけはちゃんと弁えててね」
そういい、幸村は去っていった。

「そうだよね・・・今はテニスに集中しなきゃ・・・ゴメンなさい。皆さんを巻き込んで・・・」
は立ち上がり、彼女達に頭を下げた。


「そんな事無いよ。同じ恋する女の子なんだから」(
「そうだよ、悪いのは真田君だよ。全然女心わかってない」()
「だから落ち込むこと無いって!!」()
「私たちはさんの味方ですよ」()
「右に同じや」()
「私も・・・・」()
「私もです。だから頑張りましょうよ、さん」(
「あたしも、あたしも!!」()
「もちろん、私もよ・・・・」()


「アリガトウ・・・・」
「さっ、もう夜遅いから解散しましょ」
に言われ、達はそれぞれの部屋に戻っていった。

「明日から頑張ろうね・・・もちろん、ミクスドも・・・」
「うん・・・・・」


こうして夜は更けていった。

第2話です。初日の夜の話にしました。さて、真田をちょいと悪役に回ってもらいました。
本来ならどうするかは、瀬川でもわかりません。
ちょいと聴いて見たいものですけどね・・・

さて、3話目は真田彼女はミクスドパートナーを探し始めます。
もちろん、アニプリにあったあの練習試合も再現しますので、楽しみにしていて下さい。

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著者:瀬川音符

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