始めは、あまり気にはしていなかった・・・・
働き者
桜舞い散る4月、私のところにあの有名なプラチナレターが届いた。
高3になってからの、転入。だけど、あの学園に入れる。
今まで1人だった生活から、出ることになる。
私立MyTime学園。ここは特別選ばれた人間しか入れない学校。
4月もあって、いろいろな特待生たちが集まっていた。
それぞれ自己紹介していったけど、私はあんまり喋らないでいた。
「弓月さんだよね〜。俺、菊丸、よろしくにゃ〜!」
いきなり声かけてきた、猫語の菊丸。
「・・・・・どうも」
この時は・・・興味も示さなかった。
「どうしたの?あんまりみんなの輪に入ってないようだけど?」
だけど、菊丸は構わず私に話し掛けてくる。
「別に・・・人が多いのが苦手なだけ」
クラスや寮のことを聞いた菊丸は、
「弓月さん!一緒のくらすだにゃ〜!よろしくにゃ!」
とはしゃいでまた話し掛けてきた。
「よろしく・・・・」
そんな彼に、ため息をついた。
そもそも、私は吹奏楽で呼ばれたけど・・・今は指導者として・・・
1年前に右腕に腱鞘炎ができ、私はクラリネットから離れることになった。
今でも、右腕の痛みが・・・・・
そんな夜・・・
「あれ〜?弓月さん?」
聞き覚えのある声に、私は思わず振り返りビックリした。
菊丸・・・・・
「どうしたの?こんな時間にこんなところで・・・」
「・・・・べ・・・別に・・・なんでもない・・・」
そういい、菊丸と目線を逸らしたけど、目には涙がこぼれ始めていた。
「どうしたの!?何で泣いているの!?」
「・・・・・なんでもないってば!!」
菊丸には関係のないこと・・・触れられてほしくない・・・
「悩みがあるなら相談に乗るよ?」
菊丸はそう言ってはくれるが、私は即座になにもないと答えた。
「弓月さん・・・。解ったにゃ〜!だったら何も聞かない。けど・・・・・」
けど・・・・何よ?
「何かあったらいつでも相談にのるからにゃ〜!」
何気ない言葉に、優しさを感じ・・・私は彼の前で泣いてしまった。
「・・・・・・・・・・・・ひっく・・・ひっく」
「弓月さん!?」
私が泣いたのを見て、菊丸は問いかけてくる。
「・・・・・なんでそんなに優しくできるのよ・・・・・・」
「なんでって・・・弓月さんだからかにゃ〜・・・」
私だから・・・・・・・
「弓月さんだから、優しくしたいんだと思うんだにゃ〜!!」
菊丸の優しさが溢れ、私は泣きながらその場に座り込んでしまった。
「弓月さん?俺で良ければ聞くよ?」
「・・・・・・・・ヒック・・・ふ・・フェ〜・・・・」
私はただただ泣いてしまっていた。
そんな私に、菊丸は優しく抱き締めてきた。
・・・・・・・!!?
思わず、涙も止まってしまった。
「あ、泣きやんだ!」
「・・・・・な・・・なんのつもり・・・」
「なんのってなかなか泣きやまないからこうしたら落ち着くかと思って・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿・・・」
「馬鹿っていうにゃ〜〜〜〜!」
「・・・・・でも・・・」
「弓月さんって何でもかんでも一人で抱え込み過ぎなんだにゃ〜。誰かに話して見るも良いんじゃにゃい?」
以外に鋭い言葉に、私は黙ってしまう。
「・・・・・ごめん・・・今は・・・話したくないの」
でも、いつかは・・・・・・・・・・・・
そう思いながら、菊丸の腕の中で・・・
「もう少し・・・こうしていても・・・いい・・・かな//」
問いかけてみた・・・・私がこんなこと言うなんて・・・恥ずかしいけど・・・
菊丸は、すんなりとOKを出してくれた。
「・・・・・・君・・・暖かいね」
菊丸の体温が暖かくて・・・顔をうずめた。
そして、また泣いてしまった。
それから、学園生活を送りながら数十日がたった。
生徒会長さん(手塚)から生徒会書記を頼まれて・・・・
吹奏楽の指導・・・んで、音符と生徒会長さんと私でまた話して・・・・
越前君で遊んで・・・・音符の事情を知って・・・話して・・・etc・・・
あれから菊丸との接触がそんなにはなかった。
そんな時に・・・・・
いきなりテニスボールが私目掛けて・・・・・って
「イタッ!!!」
目に直撃してしまった・・・・・
近くにいた美亜ちゃんが、大丈夫かと問いかけてくる。
・・・・誰だこのボール当てやがったのは!!!
目には見えてなかったけど、その後から聞こえてきた生意気な声。
あのくそガキ・・・・・
「・・・・ちょっと・・・気をつけてよ・・・・」
「すっ、スンマセン・・・」
とそのとき・・・・
「おっチビ〜!何してんのって弓月さん!?」
菊丸がきた。
「だ、大丈夫!」
「当たった時になんか目に入ったみたい」
涙流しながら、今の状況を話す。
とすると、卵(大石)がやってきて、私を見てやれよといって去っていった。
「大変!早く保健室に行かなくちゃ!」
いきなり腕を引張られ、
「あっちょっと!!前が見えないの!!」
と言った瞬間・・・・
「え!じゃあ!」といい、私を抱き上げた。
俗に言う・・・・お姫様抱っこ・・・・
拒もうとすると、「おとなしくしている!」と強く言われ、大人しく連れて行かれた。
ただでさえ、抱き上げられて恥ずかしいのに・・・・菊丸の優しさに顔を赤く染めてしまう・・・
保健室についても、目に何かが入ってて開けられない・・・
そんな私を優しく介護してくれる菊丸・・・・
運悪く(?)保健の先生は不在・・・・
シップ張ろう・・・って恐ろしいこと言わないでよね・・・
そういうと、菊丸は小さめの袋に氷を詰めて渡してくれた。
でも、目が見えなくて擦ってしまう。
目を洗おうにも無理がある。
「左目、結構腫れて来たからあまり擦らない方がいいよ・・・」
そう言われても、擦ってしまう・・・
暫くあれこれと言い争い、結局氷袋をあて部屋に戻ることにした。
まだ目に違和感がある私を、また菊丸は抱き上げた。
帰り際に少し話したけど・・・黙秘が多かった。
とその瞬間・・・ピアノの音と、かすれるキレイな声が聞こえてきた。
この声・・・・・音符?
「きれいだにゃ〜!誰だろう?」
菊丸も足を止め、耳を澄ませている。
音符だって頑張っている・・・・私は菊丸に・・・・話すことにした。
半年くらい前から手が腱鞘炎でしびれるようになってたこと
3ヶ月前に急に悪化して・・・・一時楽器は吹けないって宣告されたこと
我慢して、でも・・・・治る気配もない・・・・
なのに楽器は吹きたくて仕方がない
このことで部活仲間は離れて行く。人と話すのが怖くなる。
この思いを全て菊丸に言った・・・・
そして、また菊丸の前で泣いてしまった。
「弓月さん。もし俺が、テニスが出来なくなるとか考えたこと無い。けど・・・
もし出来なくなってもやってると思うよ。たとえ腕がつぶれようともね。だってそれしかとりえないから・・・。
でも、弓月さんはそんなことしたらダメだ。ゆっくり直して、それから思いっきり吹けば良いんだからさ」
ホント、どこまで優しいんだろう・・・
私は声を出して泣いた・・・・
「弓月さん、腕が治ったら、聞かせてにゃ!弓月さんの演奏!」
「ヒック・・・・・・・・・ヒック・・・・・・・・・うん」
それから、音符と不二君に察しられて・・・話した・・・・
次第に私は菊丸を意識し始めている・・・・
そんな頃・・・美亜ちゃんが越前君に告白されている所を出刃亀して、
おもいっきり当て付けられて、顔が赤いまま足はテニスコート行っていた。
とそんなとき、運悪く(?)菊丸に遭遇した。
目のこと心配しててくれた。
もう大丈夫だというと、彼はニカッと私に微笑んだ。
「そうだにゃ!弓月さん、その君って止めにゃい?」
えっ・・・・
「なんか違和感あるんだよにゃ〜!」
「そ・・・そう・・・だよね・・・ごめん」
「だから、名前か名字で読んでくれにゃい?」
「あ・・・・・・・う・・・・ウン・・・・・・努力する・・・・」
「じゃあ俺、倭って呼んで言い?」
名前っすか〜〜//////////////
「////////・・・・・・・・・・・・・い・・・・いいよ・・・・・//////」
そういうと・・・菊丸は嬉しそうに私に抱きついてきた。
ちょっと拒んでみると、謝って離れてくれた。
そんな私たちの間に、忍足が割って入ってきた。
忍足に指摘され、恥ずかしくなりその場から走り去った。
【ドン】
「/////////イタッ」
「キャッ・・・って倭?大丈夫?」
無我夢中で走ってて、音符と激突してしまった。
そして、顔が赤いと指摘され・・・事情を話した。
そんななか、出かけないかと誘った。
もちろん、楽譜を探しに・・・・
悪戯ついでに生徒会長さんもって言ったら・・・音符は菊丸君もって///
「Wデートになるわよ・・・」
「いいんじゃない?」
その後、外の大きな木のところで疲れ果て眠ってしまった。
気づいたら、横には美亜ちゃんが・・・
そして、部屋にいることを聞いてみると・・・・
「さっき、菊丸先輩がここまで弓月先輩を連れ来て下さったんです」
英二が・・・・
そして、部屋で美亜ちゃんの事情を知ることになってしまった。
次の日・・・
朝早くに加代たちとホールで歌ったけど・・・加代の調子が悪かったみたい・・・
私は音符をつれ、出刃亀した場所にいった。
その前に英二に出くわした。
でも・・・・・・名前で呼べなかった・・・・;;
音符と2人で美亜ちゃんと越前君のカップル成立を見届け・・・
2人がキスしているのに、また当て付けられ・・・顔を赤く染めてしまった。
もちろん、見ていた音符も・・・・
【ポンッ】
「倭、にゃにしてんの?」
いきなり、肩に手を置かれ声かけられてビックリし・・・
「ウワァ〜〜〜〜〜!!ッ・・・・・え・・・・・・菊丸!!/////」
私はあわてて口を塞ぐ。そんな私の声に音符も驚き、
「なっなに!?ってき、菊丸君///」
「いきなり走り出すからびっくりしたにゃ〜!」
「え・・・・あ・・・・・ごめん・・・菊丸それだけできたの?」
英二って呼びたいけど・・・・ヤッパリ駄目だ〜〜
「それだけじゃにゃいけど・・・。なんか様子が変だったから・・・」
「いや・・・・別に・・・・・ねえ音符/////」
「えっ///・・・・・・・・・・・・・・・そぅね・・///」
何とか流そうとしていると、外の2人はまたキスシーンに・・・・
//////////////////////////////////////
それを英二も見てしまう・・・
「あ・・・。おチビ・・・」
3人で顔を赤く染め上げる・・・・・・
「あっ・・・私・・・用事があったんだ・・・それじゃ」
音符〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!逃げないでよ〜〜〜〜!!
「や、倭!お、オレね・・・。倭のこと・・・。」
いきなり、英二が話し始めた。
私は逃げ出したい気持ちでいっぱい・・・・;;
「す・・・好きなんだ・・・」
えっ////英二からの告白////
「え・・・・・・//////・・・・・」
「初めて、倭がオレに話してくれたときから・・」
「・・・・・・/////」
いきなりの告白に、思わず後ろに下がってしまう。
「返事は、いつでもいいから・・・」
「き・・・・・菊・・・丸・・・・・」
「倭がオレのこと、なんか避けてるのは分かってる・・・。でも!オレは・・・!
倭がオレのこと嫌いじゃないって言ってくれたとき、すごく嬉しかったんだ・・・」
「・・・・・・・・・・・//////」
「倭が手塚達と話してるとき無性に腹が立って・・・」
「え・・・・だってそれは・・・生徒会が・・・・///」
「それでも!なんか嫌だったんだ・・・」
私は顔を赤くしたまま・・・後ろに引いて壁に背をつけた。
「倭・・・。やっぱオレのこと嫌い?」
少し俯き・・・嫌いなんかじゃ///と言った。
「もう1回言うよ・・・。オレは、弓月 倭が好きです!」
・・・・・・・・・・・///////
「オレ・・・倭の気持ちが知りたい・・・」
「わ・・・・・・私は・・・・・・/////確かに・・・・最初・・・急に抱きつかれたときは嫌だった・・・・////
でも・・・・・私が泣いてたとき・・・抱きしめてくれたのは嫌じゃなかった・・・・とっても暖かくて////
なんか・・・・とっても安心できた・・・////私も・・・・・菊・・・・・・え・・・英二のことが・・・・////
・・・・・・・気づいたら・・・好きになってた・・・・・/////」
私の・・・英二に対する思い・・・全て言った・・・
下に俯いていると、英二が優しく抱き締めてきた。
「やっと、名前読んでくれた・・・!」
「ごめんね・・・・・名前・・・・何度も言おうとしたんだけど・・・・いざとなると・・・緊張しちゃって・・・////」
「良いんだよ・・・!こうやって呼んでくれたから!」
そういい、少しきつく抱き締めてくる。
「・・・・・・やっぱり・・・英二って・・・暖かい・・・・・////」
英二のぬくもりに目を閉じた。
「倭・・・。好きだよ・・・」
「英二・・・・・・・・・・んっ」
私の唇に軽く、英二の唇が重なり合った。
こうして私たちは晴れて、恋人になった。
でも、そのあと力が抜けちゃって・・・・;;
これから、私はどうなって行くのだろう・・・・
英二と一緒に・・・・・・・・・
おまけ・・・・
「んね〜〜、最近構ってくれてない〜?」
「そう?」
「いくら生徒会や〜、すいそーがく忙しいからって・・・俺、無視?」
「そんなわけ・・・・・・・・・・」
「それにさ〜、ネコのエージまで構って〜〜〜」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・英二・・・・・・・」
そんな英二に軽く唇を重ねた。
「こっ、コレでいい////」
「うん^^。でも、無理しちゃダメだかんね!!」
「解ってるって・・・・」
090:働き者 お相手:菊丸英二 MyTime学園ダイジェスト(?)
3組目のカップルは菊丸&倭。
いやいや、あの黒倭(ゴメン)がこんなに可愛く見えるとは…
でも、菊丸君構ってあげないと・・・可哀想だよ;;
菊丸英二:美亜様
菊丸ヒロイン:弓月倭様