それは2学期の始まりだった。 アンティーク 千葉に来て、数週間経った。 こっちに来てはじめての休みの日・・・ 「なんや、この店・・・」 異様に古びた店を見つけ、窓の奥を覗く。 そこはアンティーク雑貨が飾ってあり、目移りするものばかり・・・ 「面白そうやな・・・入ってみよ」 彼女は店のドアを開けた。 普通なら店員が声かけるはずなんだが、誰もいない・・・ 「変な店やね・・・」 雑貨を見ながら、あるものを見つけた。 「なんや、これ・・・・」 それは古いオーディオ。しかも・・・・ 「自由に聴いて下さい・・・・ほな、流してみよ」 彼女はオーディオに触り始め、曲を流した。 ♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 曲調はジャズ感覚でのりが良い。 彼女は曲調にあわせ、鼻歌を歌い始めた。 とそのとき・・・・ いきなりオーディオから溢れるばかりの光が・・・そして・・・・ 「なんやねん!!このカッコは!?」 光が収まるとなんと、彼女はニャンコになってしまったのだ。 「どないなってんねん!!」 猫のまんま、その場をうろつく。 「一体どないになっとるん?」 彼女がそう叫んでも・・・・誰も返事をしてくれない。 『なんじゃ?猫ちゃんじゃないか・・・』 店の奥から、店主が出てきた。 『だめじゃよ、ココは動物禁止じゃ』 そういわれ、首根っこをつかまれポイっと外に出されてしまった。 「あんな、うち人間やで」 店主にそういうが・・・・ 『にゃーにゃー言ってもダメじゃよ。元気でな』 さすがに猫になってしまったため、猫語は誰にも通用せずドアを閉められてしまった。 「そんな〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 仕方なしに猫になってしまった彼女は、とりあえず街の中を歩いた。 「あ〜どないしよ・・・おかんとこ戻っても・・・解らへんやろうしな・・・」 彼女はそういうが、周りにはにゃ〜としか聞こえない。 彼女は街の奥に進んで行くと、背丈の高い髪形に特徴のある男性を見つけた。 「あれは・・・・ああ!!あいつや!!」 ++++++ 回 想 ++++++ 「大阪から転校してきました、です。皆、よろしゅう」 景気のええ関西弁で自己紹介したあたし。 せやけど・・・・・ 『それじゃあ・・・天根の隣が空いているな。天根、手を上げてやってくれ』 先生にそういわれると、でかい兄ちゃんが手を上げた。 「ウィ!」 『あそこの隣に座ってくれ』 「はい」 あたしは、でかい兄ちゃんの隣の席に座り、挨拶したんや。 「よろしゅうな。天根君」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「??」 「関西・・・・・・関西でカンサンしました・・・・ブッ!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい 「なっ、なんや?ダジャレかいな??」 あたしがそう聞くと、回りはなんともいわへん。 『あ〜、。そいつはほっておいてやれ。いつものことだ』 「は〜い。アンタ、ダジャレすきなん?」 あたしは授業をそっちのけで天根に話し掛けた。 だけど、天根は片言で『ウィ』と言いながら頷いた。 「せやけど、寒いで・・・そんなんで受けようなんて100年早いわ!!」 ポフッと言わんばかりに、天根の胸に思わず突っ込んでもうた。 その瞬間・・・・ 「お前と仲良くしたい」 天根はお友達宣言しよった。まぁ、お友達ならええかとおもってあたしも了承したんや。 せやけど・・・・ここからが天根の本性?出まくりやった。 気づけば、隣に天根が居て・・・ダジャレかましたら、あたしが突っ込んでた。 「時計が驚いた・・・ウォーーーッチ!!」 「ええ加減にしいや!!【バン】」 ってな感じや。 ++++++回 想 終 了++++++ 「せや、天根や!!あいつなら・・・・解るんかいな?」 はそのままの姿で天根に近づいて行く。 足元に到着し、見上げてみるとなにやら真剣な顔をしていた。 (なに、考えてんのやろ・・・) その瞬間・・・・・ 「サンマ・・・・俺サンマの美技に酔いな」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・;; (またかいな!!) は本能のまま、しっぽで天根の足に突っ込みをいれた。 「苦しいわ!!アホ」 バシっと突っ込むと、さすがの天根も猫の姿に気づいた。 そして、抱き上げ・・・・ 「お前、突っ込み上手いな・・・・」 「当たり前や!!あたしやで!!」 そう答えるが・・・・ 「にゃ〜にゃ〜言ってるけど、何言ってるのか解んない・・・」 と猫語のため、天根に突っ込みセリフは届かなかった。 「でも・・・・あいつみたいだったぜ。んじゃーな」 天根は猫を降ろし、歩き始めた。 「待ってーな!!置いていかんといて!!」 4本の手足で天根を追いかける。 「なんだ、お前・・・・家がないのか?」 「ちゃうねん。あたしは人間やって!!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・家が無いの?・・・・イエ〜イ!!」 しかもダジャレとともに、親指まで立てて・・・・ 「ばかダビデ!!」 高くジャンプし、猫の肉球でバシッと天根の頬をパンチした。 「やっぱり気に入った。お前、連れて帰る」 天根は猫を再度抱き上げ、家路に向って歩き出した。 「そうだ・・・お前の名前、決めなきゃな・・・・何にしよ・・・」 天根は名前を考え始める。だが・・・・・・・ 「バネさん、サエさん、ケンタロウ、リョウちん、いっちゃん・・・・」 と、テニス部のメンバーの名前を片っ端から並べて行ったのだ。 「あっ、。お前、今日からな!!あいつと一緒」 天根にそう呼ばれ、の鼓動がドクンっとなった。 (天根・・・・なんやの?今のドクンっは・・・) 「おーい、ダビデ〜〜!!」 帰り道、見慣れた男性1人が天根たちに駆け寄ってきた。 「あっ、バネさん。ちーっす」 「おう!!って今日は、あの突っ込み譲ちゃんいねーんだな」 (ん?突っ込み譲ちゃんってあたしのことかいな?黒羽はん) そう、天根たちの前に現われたのは3年の黒羽春風。 天根とダブルスを組んでいるパートナーである。 「別にいつも一緒じゃないっす///」 天根はそういい、黒羽と目線を逸らす。 (ダビデ??) 猫はなぜ、赤くなったのか気になりずっと天根を見続けた。 「おーおー、青春してるね〜。ダビくんよ。 早く告白しろよwwお前たち、お似合いなんだからよ!!」 「ばっ、バネさん!!」 「カッカッカッ、まっ、がんばれよ〜。ってお前、猫飼うのか?」 やっと天根の腕にいる猫に気づいた黒羽。 「ウィ!!」 「可愛がってもらえよ!!」 黒羽は猫をなでると、去っていった。 天根は猫を抱いたまま、家に入った。 猫は天根家に大歓迎され、飼われる事となった。 (せやから、あたしは人間やって・・・) さすがに形は子猫だったせいか、ミルクを出された。 (まぁ、これくらいならええやろ。猫マンマ出されたら、さすがに食べれへんしな) 時間は経ち・・・・ 猫は天根の部屋のベッドでくつろいでいた。 「なぁ〜・・・・・・」 「なんや?」 返事を返すと、天根は何故かかしこまり始める。 「ダビデ??」 「お前に・・・話すの・・・恥ずかしいけど・・・・・・スススス、好き・・・・・」 ////////////////////////////// (ダッ、ダビデ///) 「なんだ・・・お前と同じ名前のヤツ・・・・」 「ダビデ・・・・」 「いつ、いえると思う・・・ってか言えない・・・・」 天根はそう呟き、ベッドに潜り込み、眠ってしまった。 「ダビデがそないなこと思ってたなんて、知らへんかった/// なんや、またドクドク心臓がなってる///」 (あたし・・・ダビデの事、好きなんやろうか///) 猫は、こっそりと窓から天根の部屋を去った。 「こないなこと、初めてや。どないしよ・・・・」 悩んでいると、あのアンティーク雑貨で流れた曲が耳に聞こえた。 は自然と口ぐさむと、光が放射された。 光が治まると、は元の人間の姿に戻った。 「あっ、戻れたわ・・・せやけど///」 は、天根の告白で頭がいっぱいになりながら自宅に戻った。 次の日。 「ダビデ・・・どないしたん?しょんぼりして・・・」 いつものように教室で天根に声を掛ける。 「ネコ・・・・いなくなった(シュン)」 「ダビデ・・・(そうやろうな・・・あたし、勝手に出て行ったから・・・)そうや!!ダビデ、ちょい来てー」 は天根の腕を引張り、誰も居ない裏庭についた。 「なんだよ・・・」 「あっ、あのね・・・・ネコ、いなくなって寂しいのは解るよ。 だっ、だから///・・・・・・・・・・・・・・・・・」 (どうしよ、どういったらいいんや??) 言葉がつまり、は顔を赤らめたまま下に俯いた。 「あのネコ・・・ってつけた・・・お前のこと、す・・・好きだから・・・」 が行き詰っている隙を狙ったのか、天根が告白してきた。 「えっ///」 「好き・・・オレ、のこと///」 「ダビデ・・・・」 は思わず、天根に抱きついた。 「のあ!!」 「あたしも、大好きや。ダビデ」 こうして、天根とは付き合うことになった。 おまけ。 「やっと言いやがったな」(バネ) 「天根にも春か〜。あっ、今は秋だけどね」(サエ) 「いいな〜。僕も女の子と抱きあいたいww」(葵) 「ケンタローには無理なのね」(樹) と野次馬がいたことは、2人は全く知らない・・・・・・・ 036.アンティーク お相手:天根ヒカル 発案者:かよママ様 |